点取り俳諧(読み)テントリハイカイ

デジタル大辞泉 「点取り俳諧」の意味・読み・例文・類語

てんとり‐はいかい【点取り俳諧】

点者評点を請い、その点の多少優劣を競う遊戯的な俳諧

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精選版 日本国語大辞典 「点取り俳諧」の意味・読み・例文・類語

てんとり‐はいかい【点取俳諧】

  1. 〘 名詞 〙 点者に句の批点を乞うて、その点数の多さを競う遊戯的な俳諧。後には賭事的なものとなった。点取り
    1. [初出の実例]「此地点取俳諧、家々町々に満々」(出典:珍碩宛芭蕉書簡‐元祿五年(1692)二月一八日)

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改訂新版 世界大百科事典 「点取り俳諧」の意味・わかりやすい解説

点取俳諧 (てんとりはいかい)

点者に句の採点を請うて,点の多さを競う俳諧。芭蕉も《三等の文》(元禄5年曲水宛書簡)で〈点取に昼夜つくし,勝負に道を見ずして走りまはる〉と言っているように,即吟即点が流行していた。其角は〈半面美人〉の点印を洒落風俳諧の高点句に印し,点取り競争をあおった。とくに享保期(1716-36)の江戸,京都,大坂で流行し,百韻を中心に連衆(れんじゆ)の点を計算して順位を定め,景品もそえるなどして時好に投じた。上方淡々や江戸の沾徳(せんとく),沾洲らが点者として活躍し,さらに紀逸から江戸座へ受け継がれていった。本来は座興程度であるべきものが,高点ねらいに目的が移り,享楽的風俗的傾向を強め,都会趣味と合致し,《春秋関》(1726)のような高点付句集や,点者の好みを例示した《俳諧觽(けい)》(1768-1831ころ)のような点取り手引書が続刊されて,俳諧そのものが雑俳化した。その点取りが発句に流入して月並発句合となるのである。もとより点取りは雑俳の側の基本形態であるから,点取俳諧の流行すなわち俳壇全体の雑俳化と見ることもできる。
万句合興行
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