連歌俳諧作品の職業的加点者。一流の宗匠は,作品の可否を判断し,点料を取って批点する資格をもつ。その職能の側から点者,また評者,撰者と呼ばれた。職業的宗匠として世間から承認されているの意である。たとえば《俳諧家譜》に〈京師点者,享保年中諸点者を官庁に召し,乃ち命じて其の数を定む。登時丗一人有り〉とあるように,奉行への届出制がとられ,その土地での点者を規制しており,場所によって承認方法は異なっていた。初めのころは,すでに宗匠である人の後見の下に,万句合興行を行って立机(りつき)式をして披露するのが例であったが,のちには,流派が独立性を強め,流派内部で自由に行うようになって,地域的統一性はしだいに影を薄めたと思われる。なお,遊俳(素人俳人)が一座に限り点を乞われる場合も,点者であることに違いはないが,これは私的なものと見るべきで,業俳(プロ)を点者と呼ぶのとは区別して考えなければならない。
→宗匠
執筆者:鈴木 勝忠
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
連歌、俳諧(はいかい)、雑俳などで、作品の優劣を評価し点をつける者。宗匠(そうしょう)。点には、句頭から斜線一筋を引く平点(ひらてん)(一点)と、二重を引く長点(ちょうてん)(二点)の2種があったが、元禄(げんろく)(1688~1704)以後しだいに点印などを用いて多様化し、其角(きかく)の「半面美人(はんめんびじん)」の点印など五十点と最高のものであった。点者になるには一定の修行が必要で、芭蕉(ばしょう)時代では宗匠立机(りっき)の万句興行を行って初めて点者になれた。のちにはその方式も緩み、元禄以後は職業化し、作品に点をつけて得る点料や、前句付(まえくづけ)の選句料などの収入で生活する者が多くなった。また金品を賭(か)けて争う点取俳諧の流行に伴い、点者の堕落が著しく、芭蕉(ばしょう)は「点者をすべきよりは乞食をせよ」と門人に戒めている。
[雲英末雄]
和歌・連歌・俳諧などで作品を評価し合点(がってん)する人。稽古のために師に点をつけてもらうこともあるが,主として点取俳諧などの勝負のため,合点をする職業の者をいう。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…《江戸鹿子》(1687)などの地誌類に諸師諸芸または諸職の一つとして登録されている。《人倫訓蒙図彙》(1690)は能芸部にあげて,俳諧の法式が貞徳,立圃(りゆうほ)に始まることを述べ,〈その流れを汲みて棟梁する者を点者と号す〉というが,《誹諧京羽二重》(1691)では点者,俳諧師,作者を区別している。広義には点者をふくみ,狭義には点者を除く職業俳人をいうか。…
※「点者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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