万一(読み)バンイチ

デジタル大辞泉の解説

ばん‐いち【万一】

[副]
もしも。ひょっとして。まんいち。
「―に危(あやぶ)む心から、暫く差控(さしひかえ)ていた」〈二葉亭浮雲
「―おめえがつまらねえこといひ出しては」〈滑・大山道中・初〉
わざわざ。とりたてて。
「珍しくもねえ喧嘩を、―に持ってくでもねえから」〈滑・浮世風呂・四〉
[名]
めったにないこと。もしもの場合。まんいち。
「―には大きな事(こつ)た」〈洒・船頭深話〉
すべてのこと。万事。
「―に飽きっぽくて」〈滑・浮世風呂・初〉

まん‐いち【万一】

[名]万の中に一つ。めったにないが、ごくまれにあること。まんがいち。「万一に備える」
[副]めったにないことが起こるのを予測するさま。もしも。まんがいち。「万一火事になったら、これを持って逃げろ」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

ばんいち【万一】

( 副 )
まんいち(万一)」に同じ。 「 -に危む心から、暫く差控てゐた/浮雲 四迷
一事が万事。いちいち。何につけても。 「珍しくもねえ喧嘩を-(町役人ニ)持つてくでもねえから/滑稽本・浮世風呂 4

まんいち【万一】

( 名 )
万のうちの一。可能性がほとんどないが、ごくまれにあること。万が一。万に一つ。 「 -の場合に備える」 「 -を考える」
( 副 )
その事態の実現の可能性が極めて低いことを仮定する気持ちを表す。ひょっとして。もしも。万が一。 「 -行けなくなったら電話する」 〔名詞・副詞ともに、好ましくない事態についていう〕

まんいつ【万一】

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

ばん‐いち【万一】

〘名〙
の中に一つ。ほとんどないが、まれにあるさま。副詞的に「ひょっとして」の意にも用いる。まんいち。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三「万一(バンイチ)に危む心から、暫く差控てゐた」
② すべてのこと。万事。
※洒落本・辰巳婦言(1798)四つ明の部「おめへのやふにばんいちにあつくなんなすっちゃア」
③ 多くのものの中で特別であること。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四「珍しくもねへ諠嘩を、万一(バンイチ)に持行でもねへから」

ばん‐いつ【万一】

まん‐いち【万一】

[1] 〘名〙 万分の一。万の中に一つ。また、ほとんどないが、ごくまれにあること。ばんいち。まんいつ。まんがいち。まんのいち。
※殿暦‐長治元年(1104)一一月一一日「触穢時被除目例万一事歟」
※雑俳・蓍萩(1735)「万一のため亀ほどな判を押」 〔後漢書‐鄧隲伝〕
[2] 〘副〙 ひょっとして。もしや。もしも。まんがいち。まんのいち。
※続日本紀‐天平宝字三年(759)三月庚寅「如不慮之表、万一有変、何以応卒」
※浄瑠璃・源頼家源実朝鎌倉三代記(1781)二「万一(まンいチ)途中で我君に、凶事あらば何と召る」

まん‐いつ【万一】

〘名〙 =まんいち(万一)(一)

まん‐が‐いち【万一】

[1] 〘名〙 =まんいち(万一)(一)
※今昔(1120頃か)二〇「万が一にも、自然ら此(かか)る事有也となむ語り伝へたるとや」
[2] 〘副〙 =まんいち(万一)(二)
※俳諧・桜川(1674)夏一「万か一青葉にのこる花もがな〈徳元〉」

まん‐の‐いち【万一】

[1] 〘名〙 =まんいち(万一)(一)
※明衡往来(11C中か)下末「而久沈病枕。永絶飡飯。蘇生之憑已万之一也」
[2] 〘副〙 =まんいち(万一)(二)
※高野山文書‐元亨二年(1322)八月一〇日・僧勝玄田地質流券「但万之一、於此田地違乱違目出来事あらは可本直者也」

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