無産者新聞(読み)ムサンシャシンブン

デジタル大辞泉 「無産者新聞」の意味・読み・例文・類語

むさんしゃ‐しんぶん【無産者新聞】

大正14年(1925)創刊日本共産党の合法機関紙。佐野学渡辺政之輔らが参加。相次ぐ弾圧で昭和7年(1932)廃刊、「赤旗せっき」に統合された。

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改訂新版 世界大百科事典 「無産者新聞」の意味・わかりやすい解説

無産者新聞 (むさんしゃしんぶん)

戦前日本共産党の合法機関紙。1924年解党した日本共産党の再組織運動の過程で結成された〈コミュニスト・グループ〉によって,25年9月20日創刊された(週刊)。創刊当初は大衆的な政治新聞であることが強調されたが,まもなく日本共産党の合法紙としての性格が強められ,《赤旗》発行(1928年2月)に先だち唯一の党機関紙としての役割を果たした。主筆の佐野学のほか徳田球一,市川正一らが編集の中心となり,議会解散請願運動,五法律獲得運動,中国革命への干渉反対などの大衆運動の指導や,労働農民党の門戸開放要求などの無産政党運動の指導に大きな役割を果たした。発行部数は最盛期の28年2月ころには4万部近くに達したが,同年三・一五事件以後関係者の逮捕,発禁・差押処分により2万部前後となり,翌年四・一六事件後は1万4000部程度に減じた。28年5,6月以後はほとんど毎号のように発禁処分にされている。28年8月15日,発行名義人の関根悦郎が新聞紙法違反で起訴され,翌年1月360円の罰金と発行禁止の判決が出された。8月に発禁の判決は確定し,8月20日付,第238号付録を赤刷で出して廃刊した。翌月9日には《第二無産者新聞》が合法新聞として創刊されたが,第9号以降は完全な非合法紙となった。そのため中央機関紙《赤旗》との区別が不明確となり,32年3月31日付第96号をもって廃刊し《赤旗》に統合された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「無産者新聞」の意味・わかりやすい解説

無産者新聞
むさんしゃしんぶん

大正末期から昭和初期に東京で発行された共産党の合法的機関紙。1925年(大正14)9月20日、月2回刊で創刊、翌年1月から週刊、27年(昭和2)9月から月6回刊となる。発刊の辞には「全国無産階級の政治新聞たらん、大衆の日常闘争の武器たらん、無産階級前衛の結合促進の任務遂行を期す」のスローガンを掲げ、佐野学(まなぶ)を主筆に、渡辺政之輔(まさのすけ)、北浦千太郎(せんたろう)、野坂参三志賀義雄(よしお)、関根悦郎らが参加し、2~3万部を発行している。しかし当局の弾圧が激しく、三・一五事件(1928)以後は、ほとんど毎号禁止処分を受けたため、29年(昭和4)8月20日第238号で廃刊した。9月9日ふたたび『第二無産者新聞』を創刊したが、これもほとんど禁止処分を受けたため、12月からは非合法で発行を続け、31年末には一時、中央機関紙の役割も果たしたが、32年3月31日、第96号で『赤旗(せっき)』(後の『赤旗(あかはた)』)に統合、廃刊となった。

[春原昭彦]

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百科事典マイペディア 「無産者新聞」の意味・わかりやすい解説

無産者新聞【むさんしゃしんぶん】

大正末期から昭和初期にかけての日本共産党機関紙。1925年創刊。初め月2回,のち週刊。佐野学野坂参三らが編集。1929年四・一六事件後廃刊(通巻238号)。同年《第二無産者新聞》を発行したが,1932年に廃刊(通巻96号)。→赤旗
→関連項目柳瀬正夢

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無産者新聞」の意味・わかりやすい解説

無産者新聞
むさんしゃしんぶん

日本共産党最初の合法的大衆機関紙。 1925年9月 20日佐野学,野坂参三,渡辺政之輔らを編集メンバーとして創刊。初め半月刊,翌年1月からは週刊,さらに 27年9月からは月6回刊となった。「全国無産階級の政治新聞,日常闘争の武器,無産階級前衛の結合促進」をスローガンとした新聞で,昭和初期のきびしい政治情勢にもかかわらず発行部数は3万部に達した。しかし 28年の三・一五事件以後発禁処分などの弾圧が続き,29年8月 20日 238号で廃刊した。その後9月に『第二無産者新聞』として復刊したが,それも 32年3月 31日 96号で廃刊となった。

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世界大百科事典(旧版)内の無産者新聞の言及

【柳瀬正夢】より

…ドイツの漫画家G.グロッスの影響をうけ,プロレタリア美術運動に深く傾斜,25年日本プロレタリア文芸連盟および漫画連盟に参加した。同年創刊の《無産者新聞》に独特の鋭い筆致で政治漫画を描いた活動はプロレタリア美術史上特筆される。31年共産党に入党し《赤旗》部門で活動したが,32年検挙され1年後釈放された。…

※「無産者新聞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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