気候学的にみて風の弱い地帯。通常、赤道無風帯をさす。これは、南北両半球の貿易風、すなわち南東貿易風と北東貿易風に挟まれた、平均風の弱い地帯をさす。この無風帯はドルドラムスdoldrumsともよばれる。両貿易風の消長に伴って、その位置や幅に季節的な変化がある。平均風は弱いが、ここでは積乱雲に伴う驟雨(しゅうう)や突風(いわゆるスコール)が多く、無風帯の呼び名は、平穏な海という誤解をおこしやすいので、この呼称に批判的な気象学者もいる。熱帯内収束帯が北と南に2本あり、それらに挟まれた区域が赤道無風帯または赤道偏西風帯となっている場合が多い。また、南北両半球の亜熱帯高気圧の圏内は風が弱いので無風帯の一つであり「馬の緯度」ともよばれている。これは、帆船で航海する時代にヨーロッパからアメリカに荷や馬を運ぶ途中、風が弱く船が進まない無風帯で、船を軽くするために馬を海に捨てたことによるともいわれる。
[倉嶋 厚・青木 孝]
『大野義輝・平塚和夫著『お天気歳時記』(1983・雪華社)』
「赤道低圧帯」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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