片山津玉造遺跡(読み)かたやまづたまつくりいせき

日本歴史地名大系 「片山津玉造遺跡」の解説

片山津玉造遺跡
かたやまづたまつくりいせき

[現在地名]加賀市片山津町

片山津温泉南方約一キロの台地上(標高二〇―三〇メートル)、通称ウワノにある古墳時代前期の玉類製作工人の集落遺跡。昭和三五年(一九六〇)開田工事に際して発掘され、竪穴住居跡四棟などを検出している。その後の調査で総数約三〇棟の住居跡を確認しているが、多くは未発掘のまま消滅している。発掘した住居跡には、工作用の特殊なピットを備えるものがあった。当遺跡で製作された碧玉(緑色凝灰岩)製の玉類や石製品には、管玉・勾玉鍬形石石釧・亀甲形・円盤形・鏃形・笠形・斧形・円筒形などの未成品があり、ほかに砥石・たがね・錐形鉄製品など工作具とみられるものが多数の古式土師器とともに出土している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「片山津玉造遺跡」の意味・わかりやすい解説

片山津玉造遺跡 (かたやまづたまつくりいせき)

石川県加賀市片山津町の上野(うわの)台地上に点在する4世紀の玉造遺跡群の総称上野遺跡,成山(じようやま)遺跡が確認されている。1959,61の両年に加賀市教育委員会が上野遺跡を発掘し,38戸の竪穴住居址を検出した。住居址は隅丸方形を呈し,1辺5~9mをはかる。床面には,柱穴や炉址とともに,攻玉用と推定される小穴をみる。玉造関係の遺物として,原材,未成品,完成品,砥石,叩石,鉄工具がある。原材は主として緑色凝灰岩であり,わずかに硬玉,水晶が混じる。緑色凝灰岩の露頭は日本海沿岸一帯などに分布するので,原材産地の近傍で玉生産を行ったことになる。出土玉類の大半は管玉で,ほかに腕飾類,合子,紡錘車,鏃とおぼしき未成品がある。なお,成山遺跡からは,鍬形石未成品などの出土が知られる。北陸地方の玉生産の実体を知るうえで,欠かせない遺跡である。
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