精選版 日本国語大辞典 「版権」の意味・読み・例文・類語
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著作権の旧称で,1899年日本ではじめて法律に定められるまで,明治初期には版権という用語が用いられた。1875年に改正された出版条例において〈図書ヲ著作シ,又ハ外国ノ図書ヲ翻訳シテ出版スルトキハ三十年間専売ノ権ヲ与フヘシ,此専売ノ権ヲ版権ト云フ〉(2条)と版権が規定された。この条例による版権は図書の出版にあたって,版権願書を内務省に差し出した著作者ないし出版者に与えられる権利で,願出がなければ版権の保護は受けられなかった。87年に出版条例から版権条例が分離され,そのとき〈版権ハ著作者ニ属シ〉(7条)と著作者に帰属することが規定された。その後99年に著作権法が制定され,はじめて著作権の用語が定着し,権利の内容も充実した。今日でも版権という用語が使われることがあるが,著作権とは別の権利のように意識するのは誤りである。
→著作権
執筆者:野々村 敞
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…暴君ドミティアヌスなどは,自分の意に反する書物が出版されると,その著者のみならず筆写した奴隷まで殺したと伝えられる。法治思想の発達したローマではあったが,版権に関する規約はなかった。著者が出版者から稿料をもらったかどうかについては,肯定と否定の両論があるが,詩人ホラティウスは,〈私の作品は海のかなたにまで伝わって名声四方にとどろいているけれども,いっこうに黄金は私のふところにはいってこない〉と嘆き,マルティアリスも,〈私の詩は蛮人の住むブリトンの国でまで歌われていながら,名声は財布と無関係である〉といっていることから推察すると,どんなによく売れても,著者は利益のわけまえにあずからない場合のほうが多かったらしい。…
※「版権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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