日本大百科全書(ニッポニカ) 「牧民金鑑」の意味・わかりやすい解説
牧民金鑑
ぼくみんきんかん
江戸時代の地方(じかた)支配関係法令集。荒井顕道(あきみち)(清兵衛)編。1853年(嘉永6)成立。22巻。小普請(こぶしん)方から出て、幕末期には陸奥(むつ)国(福島県)棚倉(たなくら)、甲斐(かい)国(山梨県)市川の代官となった編者が、後進代官の執務の便に供する目的で編集したもの。江戸初期から嘉永(かえい)年間(1848~54)までに発布された御書付(おかきつけ)、御達書(おたっしがき)をもとに、そこから地方支配に必要な法令、先例、慣行、史実などを抜粋して集録している。構成内容は、御代官心得方、諸伺書、陣屋、諸入用、手附(てつき)手代(てだい)、場所替、巡見使、村役人、村役人心得方をはじめとし、公事(くじ)方心得方、越訴(おっそ)、博奕(ばくえき)など、田制、租法、司法、刑法の各分野の合計93項目にわたっている。
[飯島千秋]
『滝川政次郎校訂『牧民金鑑』上下(1969・西田書店)』