江戸時代に幕府または各領主が田畑に課した年貢。物成(ものなり)・成箇(なりか)と同じ意味である。当時年貢は、村高に対して何割何分といったかけ方をし、その租率(免(めん))は領主によって違いがあった。またその租率の決め方には、実際秋になって出来高を調べて課税する検見取(けみとり)法と、過去数年間のできぐあいを基に一定期間、定額の年貢の納入を命ずる定免(じょうめん)法との二つがあった。村宛(あて)に割り付ける年貢令状を一般に年貢免状(めんじょう)とよび、地域によっては御(お)取箇ともいった。また年貢徴収に関する書類を一般に年貢勘定帳、物成勘定帳などとよぶが、所によっては御取箇帳、御取箇附帳、御取箇郷帳、御成箇帳などともいった。あるいは、年貢徴収にあたる役人を取箇方とも称した(1761年=宝暦11、幕府勘定所に設置)。
[吉永 昭]
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江戸時代,田畑からの収穫物のうちの幕府や領主の取分。年貢・物成(ものなり)・成箇(なりか)などと同義語。五公五民,免いくつ何分何厘というように,生産物全体のうちの領主の取分を示すのがもともとの意味だったと考えられる。本来は現物の米で納められる年貢をさしたようだが,一般には石代納などの貨幣納によるものも含めた,広い意味で使用される。
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…江戸幕府の代官所(大名預所を含む)において田方検見(けみ)終了後代官が取箇(年貢)を決め下勘定所取箇方へ提出する帳簿。1郡ごとに定免(じようめん),破免,検見に分け,前10ヵ年分の取箇増減を記し,総計を付し,三拾三箇年取米永増減差引帳ほか付属書類を添える。…
…百姓は財の余らぬやうに不足なきやうに治る事,道なり〉(《本佐録》)とあるように,農民の収穫のうち再生産に必要な最低限のものを残して,あとは年貢として取り立てようというものである。この段階では租率(免(めん),取箇(とりか)ともいう)は可能な限り高く決められ,村高×租率によって年貢高は定まった。 かかる方式は農村の疲弊をもたらしたので,17世紀中葉の寛永の飢饉を契機に農政の方針は小農経営の保護育成策に転じ,畝引検見(せびきけみ)法が導入された。…
※「取箇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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