安全保障に関する重要情報である特定秘密の指定や解除が適切かどうかを検証する国家公務員。正式名称は「内閣府大臣官房独立公文書管理監」。2014年(平成26)12月の特定秘密保護法の施行にあわせ、内閣府に新設されたポストである。秘密にすべきでない情報が不正にあるいは恣意(しい)的に特定秘密にされていないかをチェックすると同時に、不正などの内部告発の調査窓口になる。アメリカの国立公文書館の情報保全監督局(Information Security Oversight Office)を参考に設けられた役職で、各省庁の局長に準ずる審議官級ポストである。
独立公文書管理監は、内閣府情報保全監察室の室長職を兼務し、同室の事務職員20人規模を率いて、特定秘密の妥当性などを監視する。防衛省、外務省、警察庁など19の政府機関による特定秘密の指定や更新などが適正に行われているかどうかを検証・監察する。内部通報を受けて、不正や恣意的な指定の有無を調査する権限もある。19行政機関から提出された特定秘密の概要リストを点検し、必要な場合には、各行政機関による詳しい資料の提供、説明、実地調査を要請し、是正を要求することができる。毎年1回、19機関から指定や解除の件数などの報告を受ける。また秘密の指定期間(通常は最長60年)を終えた文書(特定行政文書ファイル等)が、適切に国立公文書館に移管されているかどうかや、不当に廃棄されていないかなどを検証する役割も担っている。ただし政府機関に特定秘密を強制的に提出させる権限はなく、独立公文書管理監の検証・監察が十分に機能するかどうかには特定機密保護法に反対する人々などから疑問の声があがっている。
[矢野 武 2015年7月21日]
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