担子菌類ヒダナシタケ目サルノコシカケ科のキノコであるチョレイマイタケが地下につくる菌核。猪苓とはイノシシの糞(ふん)の意味。菌核は黒く,凹凸が多く,平たく,古い大きなショウガ根に形は似る。ハンノキ,カエデ,クヌギなどの根に寄生し,地下にかたまって形成される。肉は白く,これを薄く切って漢方薬として重用される。秋,この菌核から地上にキノコが発生する。キノコは1本の茎から幾回も枝を分け,各枝の先端に直径2~4cmの円い,浅い漏斗形の小型のかさをつける。かさの表面は黄白色~淡いきつね色,かさの下面は白く,管孔が密にならぶ。1株に20~50個以上のかさをつけ,1株の大きさは高さ10~20cm,直径10~30cmにもなる。肉質で食用になる。北半球の温帯以北に広く分布し,日本では北海道から九州まで分布する。
執筆者:今関 六也 猪苓は成分としてエルゴステロールergosterol,ビオチンbiotin,多糖類,タンパク質,糖分,無機物などを含むことが知られているが,それらのいずれが有効成分か不明である。漢方では茯苓(ぶくりよう)とともに優秀な利尿剤とされているが,茯苓のように滋養強壮効果がない。しかし利尿効果は茯苓より強く,応用範囲が広い。配合する生薬によって急性,慢性いずれの乏尿,頻尿,血尿などに消炎性利尿薬として用いられる。応用例として泌尿器系の結石や腫瘍,尿路感染症,前立腺や痔の手術後,腹部の水腫や下肢の浮腫,女子の白帯下など。効果が得られた後は直ちに停止し,長期服用(とくに慢性虚弱性疾患や妊娠時など)はさけた方がよい。また,癌治療効果があり,とくに肺癌など扁平上皮癌に有効とされ,将来が期待されている。この抗癌作用は免疫能力の調節によって生ずると考えられている。
執筆者:新田 あや
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
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