王仙芝(読み)オウセンシ

デジタル大辞泉 「王仙芝」の意味・読み・例文・類語

おう‐せんし〔ワウ‐〕【王仙芝】

[?~878]中国、唐末の黄巣の乱指導者ぼく州(山東省)の人。塩の密売商人。875年に挙兵し、華北を転戦したのち敗死。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「王仙芝」の意味・わかりやすい解説

王仙芝
おうせんし
(?―878)

中国、唐末の農民反乱黄巣(こうそう)の乱)の初期の指導者。濮州(ぼくしゅう)(山東)または曹州(そうしゅう)冤句(えんこう)(山東)の人。唐朝後半期の塩の専売政策は一方で塩の密売商人(私塩の徒)を多数発生させたが、唐朝の厳しい取締りに対抗して、彼らが群盗化する動きも9世紀なかばから顕著になった。王仙芝は早くから私塩に従事して名賊といわれ、各地に続発していた藩鎮(はんちん)兵士や逃亡農民の反乱に乗じて875年5月(または前年の末)衆3000人と長垣(ちょうえん)(河南)に乱を起こした。濮、曹2州を落とし、河南15州を略奪し、黄巣ら各地の群盗を集めて数万の大勢力となり、唐朝を震撼(しんかん)させた。ついで湖北、安徽(あんき)を回って蘄州(きしゅう)に達した翌876年12月、唐朝の懐柔策で左神策軍押牙(しんさくぐんおうが)兼監察御史(かんさつぎょし)の官を受けようとしたが、黄巣らの反発にあって断念し、以後、彼と二手に別れて行動した。末年については所伝が一致しないが、一説には、877年末、河南、湖北方面で唐朝の誘いを受けて派遣した部将尚君長(しょうくんちょう)を切られ、ふたたび攻勢に出たが、翌年2月蘄州黄梅(おうばい)に敗れて斬首(ざんしゅ)された。残余の勢力は尚君長の弟尚譲(しょうじょう)に率いられ、黄巣の軍に合流して活動した。

[金子修一]

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改訂新版 世界大百科事典 「王仙芝」の意味・わかりやすい解説

王仙芝 (おうせんし)
Wáng Xiān zhī
生没年:?-878

中国,唐末の反乱指導者。濮州(山東省甄城(けんじよう)県)の人というが異伝もある。当時専売品であった塩の密売を業とし,874年ころ飢饉に乗じて山東・河南の省境地方で挙兵,大将軍と名のった。ついで黄巣らも加わって諸州を攻撃略奪し,いわゆる黄巣の乱が始まった。しかし唐朝の誘いに応じて投降しようとしたことから黄巣と不和になり,これとたもとを分かって江北一帯を転戦したが,黄梅(湖北省黄梅県)で唐軍に敗れて殺された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「王仙芝」の意味・わかりやすい解説

王仙芝
おうせんし
Wang Xian-zhi; Wang Hsien-chih

[生]?
[没]乾符5(878)
中国,黄巣の乱の初期の指導者。山東の人。安史の乱以来,財政危機を救うために唐朝がとった塩専売・茶税政策は,唐末に茶塩密売商人を活躍させ,彼らは下層民の支持を受けた。王仙芝は塩密売商人で,唐末破産農民や逃戸 (とうこ) による各地の小規模反乱に乗じて乾符2 (875) ~3年頃黄河下流域で反乱を起し,やがて黄巣や群盗も合流して大勢力となり,唐朝を震駭させた。一時唐の招きに応じようとしたが,再び黄巣とともに反乱を指導し敗死した。その部下は黄巣の指導下に入り,活動を続けた。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「王仙芝」の解説

王仙芝(おうせんし)
Wang Xianzhi

?~878

唐末の黄巣(こうそう)の乱の指導者。濮州(ぼくしゅう)(山東省鄄城(けんじょう)県)あるいは曹州(そうしゅう)冤句(えんく)(山東省荷沢市)の人。塩の闇商人で,875年反乱を起こし,黄巣とともに華北を荒らし回ったが,876年投降を試み,黄巣の反対にあってから別行動をとり,江陵もしくは洪州で敗死した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「王仙芝」の解説

王 仙芝
おうせんし

?〜878
唐末の反乱の指導者
山東省濮 (ぼく) 州出身の塩の密売商人で,仁侠の徒。唐の政治腐敗と苛酷な徴税に抗し,874年河南で反乱を起こした。翌年,黄巣 (こうそう) がこれに応じ,いわゆる黄巣の乱に発展した。一時は河南・山東に威を誇ったが,唐将曽元裕 (そげんゆう) に敗れて斬首され,その残党は黄巣の軍に合流した。

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