王応麟(読み)オウオウリン(その他表記)Wáng Yìng lín

デジタル大辞泉 「王応麟」の意味・読み・例文・類語

おう‐おうりん〔ワウ‐〕【王応麟】

[1223~1296]中国南宋学者。慶元(浙江省)の人。あざな伯厚はくこう。清朝考証学の先駆とされた。著「困学紀聞」「玉海」など。

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精選版 日本国語大辞典 「王応麟」の意味・読み・例文・類語

おう‐おうりんワウ‥【王応麟】

  1. 中国、南宋の学者。字(あざな)は伯厚。宋代末期憂国の士で、宋滅亡後、隠棲して学問著述に専念した。著に「困学紀聞」「玉海」など。(一二二三‐九六

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改訂新版 世界大百科事典 「王応麟」の意味・わかりやすい解説

王応麟 (おうおうりん)
Wáng Yìng lín
生没年:1223-96

中国,南宋末・元初の学者。字は伯厚,厚斎,号は深寧,慶元府(浙江省)の人。淳祐1年(1241)の進士。時の官吏が一旦進士となると,学問をすてて顧みないのを嘆き,みずから発奮して学に励み,宝祐4年(1256)の博学宏詞科に及第した。科挙で文天祥の答案を認めて首席としたことは有名。官は秘書郎より礼部尚書兼給事中に至ったが,その間しばしば天子を諫め,また国家の大事のために献策した。しかし丁大用や賈似道などの権臣と合わず官を去り,晩年には全く引退して著述に専念した。該博な学問を駆使して,《深寧集》《玉堂類稿》《掖垣類稿》《困学紀聞》《玉海》など,多くの著があり,特に宋代に関する記事は,根本史料として貴重な価値をもつ。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「王応麟」の意味・わかりやすい解説

王応麟
おうおうりん
(1223―1296)

中国、南宋(なんそう)末期の高官、儒者。字(あざな)は伯厚、号は深寧(しんねい)。浙江(せっこう)省慶元府の人。進士に及第、累進して給事中、左丞相(さじょうしょう)となったが、この間、権臣賈似道(かじどう)のためにしばしば圧迫を受けた。宋の滅亡後は、野にあって著述に専念し74歳で没した。政治的には権臣を恐れず、辺防を論じた。早くから学術に親しみ、経学、史学にわたって該博な知識を有していた。著書多く、なかでも『困学紀聞(こんがくきぶん)』『玉海(ぎょくかい)』『詩考』『漢書芸文志攷証(かんじょげいもんしこうしょう)』『漢制攷』『小学紺珠(こんじゅ)』などがよく知られている。その学は考証に優れ、これらの著述はいずれも後世を益することが大であり、宋代学術の一つの頂点を示すとともに、後の清(しん)朝考証学の先駆ともなった。

[村山吉廣 2016年2月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「王応麟」の意味・わかりやすい解説

王応麟
おうおうりん
Wang Ying-lin

[生]嘉定16(1223)
[没]元貞2(1296)
南宋末の学者。ぎん県 (浙江省) の人。字,伯厚,厚斎。号,深寧。秘書郎,礼部尚書を歴任。宋末の危難に際して,権臣にはばかることなく時政を批判し,宋滅亡後は故郷に隠れて教育と著述に専念した。博学で著作が多く,清代考証学に大きな影響を与えた。著作『深寧集』『漢書芸文志考証』『困学紀聞』『玉海』『小学紺珠』。

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世界大百科事典(旧版)内の王応麟の言及

【玉海】より

…中国,宋末・元初の学者王応麟の著。200巻。…

【困学紀聞】より

…中国,南宋の王応麟(おうおうりん)の著。20巻。…

【三字経】より

…中国,南宋の王応麟の編と伝えられる字書。児童用の識字教科書。…

【名数】より

…古くは事数ともいった。これら名数は時代や地域によって数え方が異なるので,初学者の遺忘に備え,読書の理解を助けるために編纂されたのが,宋の王応麟の《小学紺珠》10巻で,名数を天道,律歴,地理,人倫,性理,人事,芸文,歴代,聖賢,名臣,氏族,職官,制度,器用,儆戒,動植の16類に分類配列し,典故をあげて諸説を列挙した。たとえば,三皇には,(1)太昊伏羲氏・炎帝神農氏・黄帝有熊氏(《尚書》孔安国序,皇甫謐《帝王世紀》),(2)伏犠・女媧・神農(鄭康成),(3)伏羲・神農・祝融(《白虎通》),(4)燧人・伏羲・神農(宋均,譙周),(5)天皇・地皇・人皇(《皇王大紀》),(6)天皇・地皇・泰皇(《史記》),五穀には,(1)麻・黍・稷・麦・豆(《周礼(しゆらい)》疾医),(2)春麦・夏菽・季夏稷・秋麻・冬黍(《月令》),(3)稲・稷・麦・豆・麻(《楚辞》),(4)黍・稷・菽・麦・稲(《周礼》夏官)等の諸説があげられている。…

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