瓦・𦨞(読み)かわら

精選版 日本国語大辞典 「瓦・𦨞」の意味・読み・例文・類語

かわら かはら【瓦・𦨞】

[1] 〘名〙 (kapāla からか)
粘土を一定の形に固め、かまで蒸し焼きにしたもの。寺院建築とともに中国から伝来。主として、屋根を葺(ふ)くのに用い、また、地面に敷きつめる。鬼瓦巴瓦、丸瓦、平瓦などがある。
※小川本願経四分律平安初期点(810頃)「鉄、若は銅、若は瓦(カハラ)を用ゐて作るべし」
蜻蛉(974頃)下「屋(や)のうへをながむれば、すくふ雀ども、かはらのしたをいでいりさへづる」
② 「寺」をいう斎宮の忌み詞。かわらぶき。
③ (「玉」に対して) 価値のないもののたとえ。がらくた。
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「五綴の瓦(すゑ)鉢もて少し飲器に充て黄金白玉をば瓦(カハら)石と同じくせり
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉六「本書中の人物に玉すくなく瓦(カワラ)多きは、即ち此比例を示すものなり」
④ (𦨞・航) 和船船底材をいう語。上代から中世までは刳船(くりぶね)構造のため船底から側面まで一材で構成され、「瓦」の字が慣用されたが、中世末以降、板船構造に変わったため、船首から船尾まで通した厚い板材となり、船体構成上の基本材という意味で、𦨞(舟の元の意)の字が作られ慣用された。日本海側では、こうら、丁(ちょう)などと呼び、太平洋側では敷(しき)ともいう。
兵範記‐嘉応二年(1170)四月一九日「一、御船様、二瓦敷板、其上立三間幄」
[2] 〘接尾〙 古代の船の数をかぞえるのに用いる。艘(そう)
書紀(720)神功摂政前(熱田本訓)「金・銀・彩(うるわ)しき色及び綾(きぬ)(かとり)縑絹を貢(たてまつ)る。八十艘(カハラ)の船に載(のせい)れて官軍に従へ令む」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android