生態ピラミッド(読み)せいたいピラミッド

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「生態ピラミッド」の解説

生態ピラミッド
せいたいピラミッド

食物連鎖栄養段階生産者,1次消費者,2次消費者と上がるにつれて,個体数や生物量,生産力は減少するため,それらを積み重ねるとピラミッドの形をとる。それを生態ピラミッドという。生態ピラミッドには,単位面積あたりの個体数を重ねた個体数ピラミッド,単位面積あたりの生物の総量(生物量)を重ねた生物量ピラミッド,一定時間内に単位面積内で生産合成する有機物の量(生産力)を重ねた生産力ピラミッドなどがある。ピラミッドの最も下の栄養段階は,生産者である。生産者とは,独立栄養生物であり,無機物からみずから食料をつくる。ほかの栄養段階はすべて消費者である。これらは従属栄養生物であり,ほかの生物を消費してエネルギーを得ている。各栄養階層の消費者は,下の階層の生物を食べ,上の階層の生物によって食べられる。1次消費者は生産者を消費する。その多くは草食動物(植物食性動物)である。なかには腐敗した有機物をとする腐食生物もいる。2次消費者は 1次消費者を食べる肉食動物(肉食性動物)であり,3次消費者は 2次消費者を食べる肉食動物である。まれに,3次消費者を食べる 4次消費者の肉食動物が存在する場合もある。

生態ピラミッドでは,それぞれ栄養段階に入る食物エネルギーの量が,下の栄養段階に入る量よりも少なくなる。栄養段階に入った食物エネルギーの約 90%は,生物が呼吸や食物の消化などの生命活動を行なう際に熱として失われ,残りの 10%は生物内の組織に蓄えられる。蓄えられたエネルギーは,次の栄養段階に渡すことができる。このように,ピラミッドの階層が上がるほど,利用可能なエネルギーの量は少なくなっていく。ピラミッドの最上層にある生物の数が最も少ないのは,利用できるエネルギー量が最も少ないからである。最終的に十分なエネルギーが残っていないため,ほとんどの生態系には四つの栄養段階しかない。

それぞれの栄養段階の有機物の収支を考えると,次のようになる。生産者が単位面積あたり,一定時間内に光合成などによって生産する有機物の量を「総生産量」という。生産者は光合成で有機物を生産すると同時に,呼吸によって有機物を消費する。そのため,総生産量から呼吸で消費される量(「呼吸量」)を差し引いたものが「純生産量」となる。生産者である植物は,1次消費者に食べられたり,枯れたりしてその一部が失われる。一定時間内に,1次消費者に食べられる量「被食量」と,枯れて失われた量「枯死量」を,純生産量から差し引いた量が「成長量」となる。

消費者である動物は,下の栄養段階の生物を捕食する。しかし食べたものの一部は消化できず,外部に排出する。その量を「不消化排出量」といい,摂食量から不消化排出量を差し引いた量を消費者の「同化量」という。消費者の同化量は,生産者の総生産量にあたる。同化量から消費者の呼吸量を差し引いた量は,生産者の純生産量にあたる。消費者の成長量は,同化量から呼吸量,被食量,「死滅量」を差し引いた量になる。(→生産生態学

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