独立栄養(読み)ドクリツエイヨウ

デジタル大辞泉 「独立栄養」の意味・読み・例文・類語

どくりつ‐えいよう〔‐エイヤウ〕【独立栄養】

生存に必要なすべての有機物を、炭酸ガス・水などの無機物から合成できる栄養形式。緑色植物ほか一部細菌にもみられる。無機栄養自主栄養自養。⇔従属栄養

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精選版 日本国語大辞典 「独立栄養」の意味・読み・例文・類語

どくりつ‐えいよう‥エイヤウ【独立栄養】

  1. 〘 名詞 〙 生体が無機栄養源から生存に必要なすべての有機物を合成できること。葉緑素を持つ植物が代表例。自主栄養。自養。

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百科事典マイペディア 「独立栄養」の意味・わかりやすい解説

独立栄養【どくりつえいよう】

自主栄養ともいい,従属栄養の対。栄養素として無機化合物を摂取し,それらを原料として体内で必要な有機化合物独力で合成していく植物的な栄養様式。二酸化炭素と水とから糖を光合成する緑色植物はその典型。また細菌類の中には,無機化合物の酸化に由来するエネルギーを用いて化学合成を営むもの(硝化菌鉄細菌など)もある。
→関連項目細菌食物連鎖

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「独立栄養」の意味・わかりやすい解説

独立栄養
どくりつえいよう

栄養素として有機化合物を必要とせず、無機物だけを用い、これを同化して、生物自体の体を構成する有機物を合成して生活活動を営む栄養形式をいう。従属栄養に対する語で、自養、無機栄養ともいう。光のエネルギーを用いて、二酸化炭素を有機化合物に変える緑色植物などの光合成生物や、無機物の酸化の際に放出されるエネルギーを用いて、炭酸同化を行う化学合成生物などがこれに属する。ヤドリギのような半寄生植物は、独立栄養と従属栄養をあわせて行うが、これを混合栄養という。独立栄養生物によってつくられる有機物が従属栄養生物の栄養源として用いられるため、地球上の生命は独立栄養生物によって維持されているといえる。

[吉田精一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「独立栄養」の意味・わかりやすい解説

独立栄養
どくりつえいよう
autotrophy

自律栄養,自主栄養ともいう。従属栄養,他律栄養に対する語。無機化合物のみを素材として,有機化合物を自力で合成して生活できる栄養の摂取法をさす。この方法で生きる生物を独立栄養生物 autotrophという。すなわち無機栄養素として必須のものが存在すれば,二酸化炭素を同化して生活に必要なすべての有機物を合成できるもので,葉緑素ならびにこれと同様の作用を有する同化色素をもつすべての植物はこの栄養法によっている。光合成を行う植物と,化学合成細菌がこれに属する。たとえばミドリムシのように,条件により独立・従属の両栄養法を行う生物もある。

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化学辞典 第2版 「独立栄養」の解説

独立栄養
ドクリツエイヨウ
autotrophism

自家栄養ともいう.生体内のすべての有機化合物を,無機物である炭酸より合成する能力をもつ生物の栄養態系.エネルギー源として,光のエネルギーを用いる光合成と,無機物の酸化によって生じるエネルギーを利用する化学合成がある.これに対し,動物や寄生植物など,エネルギー源の供給を他種生物に依存する場合を従属栄養という.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の独立栄養の言及

【栄養】より

…緑色植物はクロロフィル(葉緑素)のはたらきで,太陽光線のエネルギーによって二酸化炭素と水から炭水化物であるブドウ糖を合成することができ(光合成),これが体内で分解するときに生じるエネルギーによって,根から吸収した窒素,硫黄,リン,カリウム,マグネシウムなどの無機化合物を材料として,タンパク質,核酸,その他あらゆる生体構成成分を合成する。このような栄養型を独立栄養(無機栄養,自栄養)という。これに対して動物の多くはきわめて限られた合成能力しかもたず,エネルギー源として炭水化物,脂肪,タンパク質などの高分子化合物を必要とするうえに,体を構成するタンパク質の材料である20余種のアミノ酸のうちの約10種(必須アミノ酸),補酵素などの構成成分として必要なビタミン類,不飽和脂肪酸なども要求し,それらのものを食物として摂食する必要がある。…

【代謝】より

…その一部を表に示した。(2)炭素源の違い 生物が大気中の二酸化炭素CO2を唯一の炭素源として利用し,生体内のすべての有機化合物の炭素骨格を二酸化炭素から合成することを独立栄養,あるいは自養autotrophと呼ぶ。これに対してグルコースなどの,より複雑な還元型の有機化合物を利用しなければならない場合を,従属栄養あるいは他養heterotrophと呼ぶ。…

【動物】より


【動物と植物】
 動物も植物もその体は,水,無機塩,炭水化物,脂肪,タンパク質からなるが,消耗した成分を補い,新しい組織をつくるなど,生活に必要なエネルギーを得るためには栄養分が必要である。緑色植物は栄養分としての炭水化物を,光のエネルギーを用いた炭酸同化(光合成)によって大気中の二酸化炭素と水からつくり出す能力をもっている(独立栄養)。これは葉緑体のなかで行う。…

※「独立栄養」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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