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都市農業 としのうぎょう

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

都市農業
としのうぎょう

大都市の市街化区域内に存在する農地での生産活動市街化区域内の生産緑地指定を受けた農地は,固定資産税都市計画税の負担が軽減され,相続税の納税猶予制度が適用される。かつて都市の宅地供給を促進するため,市街化区域内農地に宅地並みの固定資産税を課することで農地の宅地転用を推進した。

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世界大百科事典 第2版の解説

としのうぎょう【都市農業】

都市の中で都市と調和しつつ存在する農業を,都市の周辺の近郊農業ととくに区別して,都市農業という。ここでいう都市とは市街化区域が主であるが,都市的開発が進行しつつある市街化調整区域も含む。従来の都市計画では都市内では原則として農地は残さないという考え方であり,市街化区域内農地に固定資産税を宅地なみに課税することによって転用を進めようとしてきたが,現実には市街化区域にかなりの農地が生産緑地などとして存続している。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

都市農業
としのうぎょう

都市の市街地が拡大する地域内に孤立・分散して、点在化した状態で営まれている形態の農業のことを、都市の周辺で営まれている近郊農業とはとくに区別して、都市農業という。わが国においては、高度経済成長期以降、都市化地域でみられる農業では、市街地を中心とした同心円状の広がりにしたがって集約の度合いが低くなっていく、かつての農業生産の様式が認めにくくなってきた。すなわち、工業やサービス業の急速な発展に伴い、非農業的な土地需要と高地価が引き起こされ、安い土地を求めて、大規模で無秩序都市開発が進み、調和のとれた都市と農村の関係を破壊し、すでに成立していた近郊農業地帯が都市化地域の中に分断された形で取り残されるようになった。このような都市域に孤立した状態で営まれるようになった都市農業は、経営面、農作業面で近郊農業が当面してきた以上の制約を受けることになった。すなわち、農業が必要とする大気が、工場から排出される煤煙(ばいえん)や有毒ガスなどで汚染され、付近の建物のために日照や通気が不良となった。灌漑(かんがい)用の水が汚染され、ごみなどの圃場(ほじょう)への投げ捨てによって排水路が十分な機能を発揮できなくされた。農薬、肥料、農機具、施設などの利用が制約され、農道が使いにくくなって、農作業をするうえで障害が起きてきた。さらに農地や施設が破損されたりして、便利なはずの立地条件がかえって妨げになり、また、化学肥料、農薬、ホルモン剤の過度の投入によって生ずる土や水の汚染(農業公害)とか、家畜、家禽(かきん)などの飼育と糞尿(ふんにょう)がもたらす悪臭や水の汚濁(畜産公害)などを防止するための施設投資への費用負担が大きくなった。
 都市農業は高度に集約的な農業経営形態をとる。都市域内に存在するという有利な条件を徹底的に追求するという、土地節約的あるいはまた資本集約的な施設投資を行い、高度の販売戦略を駆使して、経営者としての能力を生かした高生産性・高収益農業を徹底して営む。また、農業公害が発生しないよう留意したり、公害防止・除去のための投資をすることが求められる。これらのことから、現在では野菜、花、果樹などの園芸が経営の中心となっている。
 一方、都市の無秩序で急激な膨張はさまざまな形の弊害の集積をもたらしてきた。それとともに、このような都市でみられる過密・公害を防止し、都市から排出されるごみや残飯などをリサイクリングによって有効に利用し、快適な景観・緑地用役を与え、保健・レクリエーション・憩いの空間を供給する農業の役割が注目されるようになってきた。貸し農園、市民農園、観光農業などがそれである。また防災空間として、将来の都市施設用の予備地としての効用も認められるようになった。このような都市農業の公益的役割が都市住民によって評価され、しかも農業の本来的な機能である生鮮で安全な農産物の生産と地場供給機能(直売、共同販売なども含む)が見直されるにつれて、都市農業と都市住民、職場、生活協同組合、農業協同組合などとの連携活動が重視されるようになってきている。
 都市化が進んだ地域での土地利用を計画的に行うため、わが国では1969年(昭和44)6月に都市計画法を施行し、都市計画地域について、すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき市街化区域と、市街化を抑制すべき市街化調整区域とを区分した。三大都市圏(首都圏、中部圏、近畿圏)にある市街化区域の農地においては、基本的には生産基盤の整備や近代化事業などの農業施策が適用できなくなり、部分的に宅地供給を促進するための、みなし課税(いわゆる宅地並み課税)が行われることになった。しかしながら、都市農業がもつ公益性に留意して、市街化区域内の農地に対しても一定の条件(利用方法とその期間など)を満たす農地については1974年8月施行の生産緑地法による生産緑地制度に基づいて、税の減免が行われるようになった。地方自治体でも、横浜市のように農業専用地区を設けることによって、市街化区域内の農地に対する固定資産税の減免や農業振興への助成を行えるように対策を講じてきているところがある。
 なお、制度的あるいは統計的には、市街化区域の農地、または三大都市圏の特定市町村(都市計画区域を設定した市町村)の農地を利用して行われる農業を都市農業として扱っている場合がある。ちなみに、1999年(平成11)の全国における市街化区域の面積は142万5000ヘクタールで、うち8.6%にあたる12万2000ヘクタールが農地である。また三大都市圏の場合、市街化区域面積は142万1000ヘクタールで、うち2.7%にあたる3万9000ヘクタールが農地である(1998)。[西村博行]
『南清彦他編『現代都市農業論』(1978・富民協会) ▽神戸賀寿朗著『都市農業――展開と戦略』(1975・明文書房) ▽西村博行編著『都市化地域における農村の変貌』(1990・多賀出版) ▽都市近郊農業研究会編『都市化と農業をめぐる課題』(1977・農林統計協会)』

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