デジタル大辞泉
「生飯」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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さ‐ば【生飯・散飯・三把】
- 〘 名詞 〙 仏語。食事に際し、食物の少量をとり分けて、鬼神・餓鬼・鳥獣などに施すもの。さんば。さんぱん。さばの飯(いい)。
- [初出の実例]「さわがしきもの、走り火。板屋の上にて、烏の斎(とき)のさば食ふ」(出典:枕草子(10C終)二五六)
- 「一切衆生の用ひる飯の上を、すこしさば取り、なんぢにあたふべし」(出典:曾我物語(南北朝頃)一一)
さん‐ぱん【生飯・散飯】
- 〘 名詞 〙 ( 「さんぱん」は「生飯」の唐宋音で、禅家の読み方。経家では呉音で「しょうぼん」と読む ) 食前に衆生に与えるために飯の上部から少量をとりわけて供するもの。さば。さんば。
- [初出の実例]「請二取聖人食一、上分散飯与レ児令レ食」(出典:東山往来拾遺(1092‐1107頃))
さん‐ば【生飯・散飯】
- 〘 名詞 〙 ( 「生飯」の唐宋音よみ「さんぱん」から ) 食前に飯を少し取って別の器に移し鬼神、餓鬼などに供えるもの。さば。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
- [初出の実例]「其子細は彼和尚毎朝念比(ねんごろ)に、法界を憐み、生飯(サンバ)を取給ふ」(出典:仮名草子・片仮名本因果物語(1661)上)
き‐めし【生飯】
- 〘 名詞 〙 雑穀をまじえないで、米ばかりで炊いた飯。
- [初出の実例]「飯(まま)は上置(うはおき)なしのきめし也」(出典:浄瑠璃・傾城酒呑童子(1718)二)
いけ‐めし【生飯】
- 〘 名詞 〙 清酒原料の蒸米冷却法の一つ。蒸米を、風に当てないで徐々に冷やすため、莚(むしろ)に包んで、底の浅い桶に入れるか、またさらに上から莚をかけておくこと。また、その飯。
いき‐めし【生飯】
- 〘 名詞 〙 うまくたきあがった飯。〔譬喩尽(1786)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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生飯 (さば)
〈さんばん〉ともいい,三飯,散飯,三把とも書く。仏教では衆生の飯米の意で,餓鬼や鬼子母神に供えるため,食膳に向かうときに少量取りわけた飯をいい,屋上や地上に投げ散らす。民俗儀礼としては神や尊者にささげる米や飯のことで,お初穂の意味である。神の前にまいたり供えたりする。関西地方で盆や正月に,健康でいる両親や親方に塩鯖,刺鯖を贈る習俗があるが,目上の人に生飯を贈ることが転じて鯖になった。
執筆者:坪井 洋文
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の生飯の言及
【散米】より
…いずれも散米によって邪悪なものを祓い,神聖な空間を現出しているのであるが,同様のことは《宇津保物語》《栄華物語》《今昔物語集》などにも記されている。米に限らず,節分の豆まきや12月1日の川祭([川浸り])の餅まき,棟上祝の餅まき,寺院の[生飯](さば)などのように,食べ物をまく行事が各地にある。これらは散米と同じ意味をもち,その土地にひそむ悪霊や邪悪な魔物に食べ物を供えて供養し,同時に穀物の霊力によってそれらを祓い鎮めようとしたものである。…
【飯】より
…とくに室町時代には湯漬が愛好され,その食べ方の作法が多くの故実書に記されている。また,飯を食べる前にまず少量をとって別の小皿に置く[生飯](さば)の風習も,広く行われていた。 欧米では,米飯はふつう野菜料理の一種とされ,付合せに用いられることが多いが,[ピラフ],パエーリャ,リゾットなどの炊込飯も行われる。…
※「生飯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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