産養(読み)うぶやしない

世界大百科事典 第2版の解説

うぶやしない【産養】

平安朝の貴族社会などで行われた通過儀礼の一つ。小児誕生の夜を初夜といい,その日から3,5,7,9日目に当たる各夜ごとに親戚・知人から衣服調度食物などが贈られ,一同参集して祝宴を張り,和歌管絃の御遊に及ぶ。産養の主要行事に〈廻粥(めぐりがゆ)〉(啜粥(すすりがゆ)とも)のがある。問口(といくち)と称する役1人と云口(いいくち)と称する役7人が寝殿の庭で坏を手に捧げ持ち,一定の誦詞による問答を交わし,粥をすすりながら回転行進するもので,粥の呪力によって邪鬼を払い,新生児の夜泣きを止めさせるのである。

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精選版 日本国語大辞典の解説

うぶ‐やしない ‥やしなひ【産養】

〘名〙
① 中古行なわれた、子供の将来の多幸と産婦の無病息災を祈る儀式。また、そのときの贈り物。産立(うぶたち・うぶたて)。産屋(うぶや)。お七夜。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「御うぶやしなひの三日の夜は左大将殿し給ふ」
② 生まれた子を養い育てること。
※読本・椿説弓張月(1807‐11)続「王限りなく歓びて産育(ウブヤシナヒ)等閑(なほざり)ならず」

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世界大百科事典内の産養の言及

【七夜】より

…さらに七夜にカオミとかコヤミマイなどといって,麩とかかんぴょうなどを持って産見舞をする例もある。宮中や公卿の古記録によると,産養(うぶやしない)といって,出生の当日を初夜,3日目を三夜,5日目を五夜,7日目を七夜,9日目を九夜として饗饌(きようせん)を設け,生児の成長を祝ったが,のちには七夜のみを祝うようになった。また鳴弦(めいげん)の儀といって,弓の弦を鳴らしてもののけをはらう儀式が行われた。…

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