登録質(読み)とうろくしち

精選版 日本国語大辞典 「登録質」の意味・読み・例文・類語

とうろく‐しち【登録質】

  1. 〘 名詞 〙 目的物質権者に引き渡さず、特殊の帳簿に登録することによって設定される質権著作権特許権など無体財産権記名社債質入れなどに用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「登録質」の意味・わかりやすい解説

登録質
とうろくしち

目的物を引き渡さずに、特殊な帳簿(登録簿)に登録することによって設定される質権。著作権、特許権などの無体財産権(知的財産権)に関する質権はその例である。狭義では、記名株式のうえの質権の一つを意味する。すなわち、質権者が株券を占有するにとどまる略式質に対して、質権者が株主名簿と株券に表示されている質を登録質という。この意味での登録質が設定されている場合には、質権者は、たとえば利益配当を受けることができ、略式質の場合に比べて有利な地位に置かれている(会社法146条以下)。なお、動産抵当を登録質ということもある。

[高橋康之・野澤正充]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「登録質」の意味・わかりやすい解説

登録質
とうろくしち
Registerpfand

一般に担保の目的物を債権者に引き渡さないで,特殊の帳簿(登録簿)に記載・記録することによって設定される質権著作権特許権のような無体財産権上の質権はこれに属し,その法的性質抵当権と異ならない。株式の登録は質権者の氏名名称)および住所株主名簿に記載・記録した株式の質入れである(会社法152)。略式質においては物上代位の保護が不十分であり,利益配当を受けられず質権者の地位が不利であるために,質権者の利益をはかるために認められた制度。すなわち登録質の場合には,質権者は会社から直接,剰余金の配当,残余財産分配などを受け,ほかの債権者に先立って自己の債権の弁済にあてることができる(154条)。

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世界大百科事典(旧版)内の登録質の言及

【権利質】より

…(2)株式の上の質権 (a)無記名株式は無記名債権と同様,動産とみなされる(86条3項参照)結果,その質入れをめぐる法律関係も動産質に準ずるものと解される。(b)記名株式の質入れには商法上,略式質と登録質の2通りの方法が認められている。前者は株券を交付することによって成立し,質権者が継続して占有することが第三者に対する対抗要件とされるものである(商法207条)。…

※「登録質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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