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質権 しちけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

質権
しちけん

債権者がその債権の担保として債務者または第三者 (物上保証人) から受取った物を債務の弁済があるまで留置し,弁済のない場合にはその物から優先弁済を受けることのできる担保物権をいう (民法 342) 。抵当権とともに約定担保物権であるが,債権者が目的物を留置しうる点で抵当権と異なる。権の対象となるものは,動産と不動産であるが,債権その他の財産権 (株式や手形) も質権の対象となり (→権利質 ) ,これについては,物に対する質権の規定が準用される。質権の設定については,物の現実の引渡しまたはこれに代る物の引渡し (たとえば債権質においては債権証書の交付) を必要とする。

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デジタル大辞泉の解説

しち‐けん【質権】

債権者債権の担保として債務者または第三者から受け取った物を債務弁済されるまで留置して、債務者の弁済を間接的に促すとともに、弁済されない場合にはその物から優先弁済を受けることを内容とする担保物権

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百科事典マイペディアの解説

質権【しちけん】

債権者がその債権の担保として債務者または第三者から受け取った物を債務が弁済されるまで占有して,債務者の弁済を間接に強制するとともに,弁済されない場合にはその物から優先弁済を受ける担保物権(民法342条以下)。
→関連項目質屋物権物上代位

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世界大百科事典 第2版の解説

しちけん【質権 pignus[ラテン]】

債権の担保として,債権者が債務者または第三者(物上保証人)から受け取った物を留置して債務弁済を間接的に強制するとともに,弁済されない場合にはその物から優先弁済を受けることのできる担保物権(民法342条)。質権はもともと動産について認められた権利(動産質)であるが,のちに不動産についても認められ(不動産質),さらに債権,株式,各種の無体財産権(権利質)などについても認められるようになったものである。日本の民法もこれら3種の質権につき規定するが,質権の本来の特色を最も典型的に示すのは動産質権で,それと比較すると他の二つの質権はかなり特殊な性格をもっている。

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大辞林 第三版の解説

しちけん【質権】

債権者が債権の担保として債務者または第三者より受け取ったものを占有し、弁済のない場合にはその物から他の債権者に先立って優先弁済を受けることを内容とする担保物権。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

質権
しちけん

債権者が、債権の担保として債務者または第三者から受け取った物を、債務が弁済されるまで留置して、債務者の弁済を間接的に強制するとともに、弁済されない場合には、その物から優先的に弁済を受ける担保物権(民法342条~366条)。質権は抵当権とともに契約によって生ずる担保物権で、金融を得る手段として用いられる。しかし質権は、質の目的となる物を取り上げて、質権者(債権者)の手元に占有を移す点で、目的物を取り上げないで設定者のもとに置いておく抵当権と異なる。質権を設定する(質に入れる)ことのできる物は、動産がもっとも普通であるが(動産質)、そのほか不動産(不動産質)でも、債権・株式などの権利(権利質)でもよい。質権を設定するためには、目的物を債権者に渡さなければならないから、債務が弁済されるまでは、質権設定者はその物を使用できない。したがって、企業資金を獲得するために、企業の設備などを担保にするときには、質権は不便であり、そのような場合には、抵当権のように担保となる物を債権者に渡さなくてもよい方法が選ばれることが多い。
 質権は主として、庶民が日用品などの動産を担保に比較的少ない額の金を借りる場合に用いられる。そのように物品を質にとって金融を行うことを業とする者が質屋であるが、質屋は質屋営業法(昭和25年法律第158号)による法的規制を受けている。不動産質は、不動産を債権者に渡してしまうと、明日からの生活あるいは企業活動の根拠を失うことが多いので、あまり利用されない。これに反して、債権・株式などの権利質は、債権証書や株券を質に入れても、直接痛痒(つうよう)を感じないので、銀行から資金を借り入れる場合などにしばしば利用されるようになってきた。
 質権者は質物を留置する権利とともに、債務者が期限に弁済をしないときに質物から優先的に弁済を受ける権利をももつ。優先弁済を受けるには、原則として民事執行法による競売の手続をとらなければならない。債務者が期限に弁済をしないときには質物は当然質権者の所有になる(質流れになる)という「流質(りゅうしち)契約」は法律により禁じられている。債務者がわずかな債務のために高価なものを失うはめになることを防止しようという趣旨である。ただし、商人がその営業によって取得した債権を担保するための質権(商法515条)や、簡便でしかも少額の金融を目的とする営業質屋には、質流れも許されている。[高橋康之・野澤正充]

転質

質権者が質としてとっている物を、さらに自分の債務のために他人に質入れすること。たとえば、甲の時計を質にとっている乙が、その質物をさらに質に入れて丙から借金するのが、それである。転質をするには質入れした人(甲)の承諾はいらない。そのかわり、転質をした者(乙)は、転質をしなかったら生じなかったはずの損害は、たとえ不可抗力による損害があっても、賠償しなければならない。[高橋康之・野澤正充]

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世界大百科事典内の質権の言及

【抵当権】より


[意義]
 担保物権の一つで,債務者または第三者(物上保証人)が債務の担保に供した物を,担保提供者の使用収益にゆだねておき,しかも債務が弁済されない場合にその物の価額から優先的弁済を受けることができる権利(民法369条以下)をいう。抵当権は,質権とともに,契約によって成立する約定(やくじよう)担保物権であり,競売の売得金から優先的に弁済を受ける権利(優先弁済権)を有する点でも質権と同じである。しかし,抵当権は,目的物を引き続き設定者の占有にとどめておく点において質権と異なる。…

※「質権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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