直播き(読み)ジカマキ

デジタル大辞泉 「直播き」の意味・読み・例文・類語

じか‐まき〔ヂカ‐〕【×播き】

苗代苗床を用いず、田畑に直接種をまくこと。じきまき。

じき‐まき〔ヂキ‐〕【直×播き】

じかまき(直播き)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「直播き」の意味・わかりやすい解説

直播き (じかまき)

種子を直接,本田あるいは本畑にまくことで,〈じきまき〉〈ちょくはん〉ともいう。苗床で育てた苗を本田(本畑)に移植することに対する用語。種子をまく時期が発芽生育にとって条件のよい時期であり,幼植物を保護する必要のない作物,例えばムギ類,マメ類,ジャガイモなどの場合には直まきを行い,種子をまく時期が早春の気温の低い時期などに当たり,幼植物を低温や風雨から保護する必要のある作物,例えば水稲,果菜類,サツマイモ,タバコなどの場合には移植を行う。移植栽培はある程度大きくなった苗を用いるので,雑草との競争にも有利であるが,直播(ちよくはん)栽培より多くの労力を要する。とくに水稲の場合には移植時に労力が集中的に必要となり,労働の軽減が大きな問題であった。近年は機械移植が普及し,労力上の問題はある程度まで解決されたが,なお大規模経営においては直播栽培の導入が必要であるといわれる。

 水稲の直播栽培には乾田直播と湛水(たんすい)直播がある。乾田直播は畑状態の水田播種(はしゆ)するもので,播種時に好天を要するところから,この条件をみたす岡山県など一部で普及している。湛水直播は湛水状態の水田に播種するもので,適用地域は広いが,酸素不足による苗立ちの不良や雑草害の著しいことが欠点とされる。最近,酸素発生剤であるカルシウムパーオキサイド(商標カルパー)を粉衣した種子を専用の機械で播種し,選択性の除草剤などを併用する〈湛水土壌中直播〉栽培法が開発され注目されている。直播栽培は稲作のコストダウンに資するものとして期待されるが,なお地域による適合性,好適品種,施肥法など検討を要する問題も多く,どの程度移植栽培に替えるかは未知数である。欧米の大規模な稲作はほとんどが直播栽培によっている。サツマイモにおいても挿苗による移植栽培に代わる種いもの直播栽培が検討されている。この方法は大きさ30~50gの小いもを丸のまま植え込むもので,育苗に要する資材,労力の節約をねらっている。
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直播き (じきまき)

直播き(じかまき)

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