国家賠償法(読み)こっかばいしょうほう

  • こっかばいしょうほう コクカバイシャウハフ
  • こっかばいしょうほう〔コクカバイシヤウハフ〕

ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

行政救済法のひとつ。公共団体公権力行使によって生じる損害賠償責任と、国家営造物設置管理に関する損害賠償の責任を規定した日本の法律である。同法は次の6条からなっている。(1条)権力の行使に関する規定(2条)公の営造物に関する規定(3条)賠償責任者に関する規定(4~6条)他の法律との関係、である。近年ではハンセン病患者の訴訟において、同法が適用された。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

公務員の職務上の過失は国や公共団体が損害を賠償すると定める。公立八鹿病院の訴訟では、一審は「病院と医師の関係は民営病院と同じ」として同法を適用せず、上司の賠償責任を認めた。一方、二審は「パワハラは違法だが、外形上は職務上の注意・指導だった」として同法を適用し、病院組合のみが賠償責任を負うとした。

(2015-03-20 朝日新聞 朝刊 島根・1地方)

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デジタル大辞泉の解説

国や公共団体の賠償責任について規定した法律。昭和22年(1947)制定。国や公共団体などの公権力を行使する公務員が職務を行う際に故意または過失により違法に他人に損害を与えたときや、道路・河川などの公の営造物の設置・管理の瑕疵(かし)により他人が損害を受けたときに、国や公共団体が負う賠償責任について定めている。また、原因となった公務員や営造物の管理責任者などに対して国や公共団体が有する求償権や、外国人に対する賠償責任についても規定している。行政不服審査法行政事件訴訟法と合わせて救済三法という。国賠法

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百科事典マイペディアの解説

公権力の行使に当たる公務員の不法行為に基づく損害,および道路・河川その他の公の営造物の設置管理に欠陥があったことによる損害について,国または公共団体の賠償責任を定めた一般法(1947年)。憲法17条に基づく。ただし,郵便法・電信法などで別個の規定がある場合にはそれにより賠償する。なお,被害者は直接の不法行為者である公務員個人に損害賠償を請求するのではなく,その公務員の所属する国または公共団体に請求する。その公務員に故意または重大な過失があったときは,国または公共団体は,その公務員個人に対して求償権を行使できる。→行政救済損失補償
→関連項目刑事補償

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大辞林 第三版の解説

国または公共団体の損害賠償責任に関する法律。公務員による公権力の行使に基づく損害賠償責任と、道路・河川などの公の営造物の設置管理の瑕疵かしによる損害の賠償責任とについて規定する。1947年(昭和22)制定。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

昭和 22年法律 125号。国,または公共団体の賠償責任を規定した法律。大日本帝国憲法下においては国家無責任原則が支配していたが,日本国憲法下においては憲法 17条を受けて国家賠償に関する一般法としてこの法律が制定された。公権力の行使にあたる公務員の故意または過失により違法に加えられた損害の賠償責任 (1条) ,公の営造物の設置管理の瑕疵に基づく損害の賠償責任 (2条) その他について規定している。国家賠償責任性質については,代位責任説と自己責任説の対立がある。なお,国家の国際法上の賠償責任は一般には国際責任といわれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国・地方公共団体その他の公共団体の不法行為責任を定めた法律。昭和22年法律第125号。明治憲法時代は、公務員の公権力の行使に関しては、いわゆる主権免責任の法理により国・公共団体の責任を問うことができず、また、道路・河川その他の公の営造物の設置管理の瑕疵(かし)に起因する損害について民法第717条により賠償責任を問うことができるかどうかも疑問であった。そこで、日本国憲法第17条は、この権利救済の空白を埋めるため国家賠償法の制定を立法者に義務づけたのである。
 その第1条は、公務員が公権力を行使する職務を行うにあたって故意または過失により違法に他人に損害を加えたとき、国または公共団体が賠償責任を負うと定める。これは、公務員の不法行為を前提として、国または公共団体が被害者に対して責任を負う代位責任である。公務員自身は、故意または重過失があるときには、国または公共団体に弁償しなければならないが、被害者に対しては直接には賠償責任を負担しないとするのが通説判例である。公権力の行使によらない公務員の加害行為については、国または公共団体は民法第715条の使用者責任を負い、公務員個人は民法第709条により被害者に対して責任を負う。公権力の行使とはもともと命令強制作用と解されてきたが、近時は教育、行政指導、公表などの非権力的公行政作用も含むとされている。
 国家賠償法第2条は、道路・河川その他の公の営造物の設置管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは国または公共団体が賠償責任を負うとする。ここで瑕疵とは第1条の過失よりもより客観化され、通常の安全性を欠くこととするのが通説であるが、近時は管理者の義務違反とする説も有力である。道路に穴ぼこがあったり、工事中の赤灯が消えていたり、大型トラックが長時間停車していたり、崖(がけ)崩れで通行中の車が谷底に押し流されたり、石に当たったりというのが典型例である。道路の設置管理の瑕疵により発生した損害賠償費用が膨大になるため、道路を管理する都道府県、市町村はいわゆる道路保険に加入するようになっている。水害はもともと天災であったが、近時はこれを人災として河川の管理の瑕疵を問う訴訟が増えている。下級審はこれを積極的に認容する傾向にあったが、最高裁はこれにややブレーキをかける傾向にある。
 そのほか、賠償責任者、民法の準用、特別法の優先適用、外国人に対する相互保証条項の規定がある(3~6条)。[阿部泰隆]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 国家賠償について定めた法律。昭和二二年(一九四七)に制定。

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世界大百科事典内の国家賠償法の言及

【国家賠償】より

…日本国憲法では,基本的人権の一環として,国あるいは都道府県・市町村のような公共団体(以下たんに〈国〉という)の公務員の不法行為によって損害を受けたときには,いかなる人にも,法律の定めるところにより〈国〉に賠償を求める権利が認められている(17条)。この憲法の規定を受けて作られた法律が国家賠償法(1947公布)である。しかし,国家賠償法は,公務員の不法行為に関する国の責任だけではなく(1条),道路・河川あるいは学校の建物等〈公の施設〉(〈公の営造物〉ともいう)の設置管理にミス(瑕疵(かし))があった場合にも,〈国〉が責任を負うことを定めている(2条)。…

※「国家賠償法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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