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着床前スクリーニング ちゃくしょうぜんすくりーにんぐpreimplantation genetic screening

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

着床前スクリーニング
ちゃくしょうぜんすくりーにんぐ
preimplantation genetic screening

遺伝性疾患を有していないカップルに対して、初期胚(はい)に多く発生する染色体の数的異常を検出するためのスクリーニング検査・診断をいう。略称PGS。たとえば、染色体の数的異常の発生率が大きい高齢女性に対して行われる。日本では、日本産科婦人科学会の会告『「着床前診断」に関する見解』(1998年制定、2006年改定、2010年改定)により、命の選別につながるとして認められていない(2015年7月時点)。[神里彩子]
『末岡浩「着床前診断のいま」(『医学のあゆみ Vol.246 No.2』所収・2013・医歯薬出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵の解説

着床前スクリーニング

体外受精させた受精卵(胚(はい) )を子宮に戻す前に行う着床前診断の一つで、将来胎盤になる細胞の一部を取り出し、コンピューターで解析して、全ての染色体について数や構造の異常がないかどうかを調べる検査のこと。妊娠初期に起こる流産の原因の多くが胎児の染色体異常にあることから、染色体に異常のない受精卵(正常胚)を選んで子宮に戻すことにより、これまで何度も流産を繰り返してきた人の流産を減らせるという報告がある一方で、着床前スクリーニングにより母体に戻せる正常胚が見つからなかったり着床しなかったりするケースも多く出産率自体は上がらないという見方もある。
スクリーニングには、染色体の数の異常を見つけ出すアレイCGHという方法や、数だけでなく転座や重複などのある箇所を割り出す次世代シーケンスという方法がある。
日本産科婦人科学会は、着床前スクリーニングが命の選別や男女産み分けにつながる可能性を否定できないため、倫理面や安全性についての検討が必要であるとして、これまで臨床での実施をガイドラインで禁止してきた。ただし、親のどちらかに重大な遺伝子疾患があるために流産を繰り返しているケースに限り、学会への申請・認可を経て、その遺伝子疾患に関連する染色体の異常を調べるという検査(PGD: Preimplantation Genetic Diagnosis)を行うことは認めている。着床前スクリーニングは、全ての染色体の異常を調べる点で、PGDと異なる。
すでに着床前スクリーニングが行われている欧米各国から着床率や流産率の改善が相次いで報告されていることを受け、日本産科婦人科学会が臨床研究を行うことを決めたのが2015年2月。17年2月には、臨床研究に必要な症例数を割り出すため、対象者の条件を絞って着床前スクリーニングを実施し、結果を検討することを発表した。対象は、35歳から42歳で、本人及びパートナーのどちらにも流産の原因となる遺伝子疾患が認められないものの、体外受精で3回以上妊娠しなかった女性、及び2回以上流産した女性、合わせて100人としている。

(石川れい子 ライター/2017年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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