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生殖補助医療 セイショクホジョイリョウ

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デジタル大辞泉の解説

せいしょくほじょ‐いりょう〔‐イレウ〕【生殖補助医療】

難治性不妊症に対する不妊治療の総称。体外受精・胚移植・顕微授精など。生殖医療ART(assisted reproductive technologies)。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

生殖補助医療

体外受精などの生殖補助医療で生まれる子どもは増え続け、約27人に1人の割合だ(2012年)。日本産科婦人科学会代理出産第三者による卵子提供を認めない立場をとるが、法的拘束力はない。自民党のプロジェクトチームが昨年10月、代理出産を一定の条件で認めるなどの法案をまとめた。

(2015-05-16 朝日新聞 朝刊 オピニオン1)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

生殖補助医療
せいしょくほじょいりょう

人工授精や体外受精などの生殖技術を用いて子をもうけようとする不妊治療の総称。体外受精が実用化された1970年代末から1980年代には人工生殖などと称していたが、1990年代後半以降、英語のassisted reproductive technologyの訳語として、日本で定着した。英語の略称で「ART」という言い方も用いられるようになった。子の誕生に人為的な操作が加わるというイメージを避けるために、あくまで手助けをするだけだと強調する言葉遣いともいえる。この点をもっとはっきり示しているのはフランスで、「生殖への医学的介助assistance mdicale la procration, AMP」という言葉が、1994年の立法で採用されて、定着している。島次郎]

倫理的、法的、社会的問題

生殖補助医療は、当初は「神の領域に人の手が入る」生命操作への抵抗から是非が議論された。だがそうした抵抗は不妊治療としての普及とともに徐々に薄れ、現在先進諸国では出生児の1割以上が、何らかの生殖補助医療を経て生まれているといわれる。
 一方、生殖補助医療は、配偶者間で行われるだけでなく、精子、卵子、受精卵、子宮などに支障がある場合、第三者の提供を受ける形でも広がっていった。そこでは、極端な場合、遺伝上の親(精子、卵子の提供者)と生物学的な親(懐胎し出産する人)と社会的な親(養育の責任を引き受ける人)がすべて異なる事態も生じうる。第三者の提供を介することにより、生殖年齢を超えた人や、単身者や同性愛カップルなどにも、生殖補助医療を利用して子をもつ道が開かれた。ここに、誰がどこまで生殖補助医療を用いてよいのかという、従来の家族観を超えた複雑な倫理的、法的、社会的問題が生じることになる。
 また生殖補助医療の安全性についても、生まれてきた子の追跡調査のデータが乏しく、いまだ医学的に確定していないのも問題である。島次郎]

国ごとに異なる対応

生殖補助医療の倫理的、法的、社会的問題をどう解決するかは、多様な価値観がかかわることなので、国によって対応の仕方がかなり異なる。1990年代の初めに、生殖補助医療の実施が認められる条件を定め、生まれてくる子と親の法的関係を確定するための立法を世界に先駆けて行った西欧諸国でも、その内容には大きな差がある。イギリスでは有償の代理出産契約が禁じられただけなのに対し、ドイツでは、代理出産だけでなく、第三者からの卵子、受精卵の提供も禁止されている。またフランスでは、生殖補助医療を利用できるのは法律婚または同棲している男女のカップルに限られ、単身者や同性のカップルの利用は認められていない。代理出産以外の第三者提供は認められているが、提供者は生まれてくる子の親になる/されることはないと民法に規定し、親子関係が錯綜(さくそう)する事態を防ごうとしている。島次郎]

日本の現状と問題点

日本では、生殖補助医療を行う医院の数が他国に比べ非常に多く、広く普及している。実施の条件などについて公的な規制はなく、産科婦人科学会の自主指針があるだけだが、その内容は比較的抑制的である。カップル間の体外受精の利用は法律婚・事実婚の夫婦に、第三者の精子の提供を受ける人工授精は法律婚夫婦に限られ、第三者からの卵子や受精卵の提供は認められておらず、代理出産も禁じられている。これに対し1990年代末以降、学会のルールに背いて卵子提供による非配偶者間体外受精や代理出産を行う医師が出るに及び、厚生労働省と法務省が実施条件や親子関係のルールを定める審議会答申を重ねたが、立法は実現していない。この間、第三者提供を伴う生殖補助医療を介して生まれた子との親子関係を争う訴訟が複数おこり、日本でも実際にそうした問題が起こっていることが明らかになった。国内ではできない生殖補助医療を海外に行って受け、生まれた子との親子関係が国内法上認められないケースも出てきた(2007年3月23日の最高裁判所判例では、日本人夫婦がアメリカで行った代理出産について、依頼者女性と生まれた子の母子関係を認めないという判断が下された。この後、特別養子縁組が申請され、認められた)。広がる一方の生殖補助医療に対し、日本社会の親子関係の実態をふまえて、ルールを確定する立法を行う必要がある。新しい技術の安全性を評価する仕組みも必要であろう。島次郎]
『根津八紘著『悩む患者がいる限り私は続けたい――「非配偶者間体外受精」が投げかけるもの』(1999・三修社) ▽デボラ・L・スパー著、椎野淳訳『ベビー・ビジネス――生命を売買する新市場の実態』(2006・ランダムハウス講談社) ▽神里彩子他編『生殖補助医療』(2008・信山社出版、大学図書発売) ▽石原理著『生殖革命』(ちくま新書)』

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