日本大百科全書(ニッポニカ) 「知的財産基本法」の意味・わかりやすい解説
知的財産基本法
ちてきざいさんきほんほう
日本の知的財産立国実現のために、知的財産の創造、保護および活用に関する施策を集中的かつ計画的に推進するために、2002年(平成14)12月4日に制定された法律。平成14年法律第122号。
2002年2月4日、首相小泉純一郎が国会で宣言した「知的財産立国」に基づいて、同年3月20日「知的財産戦略会議」が設置された。同年7月3日「知的財産戦略大綱」が決定され、ただちに「知的財産基本法準備室」が設置された。同年10月16日「知的財産基本法案」が決定され、第155回臨時国会において11月27日に成立、12月4日公布、2003年3月1日に施行された。
その内容は、この法律の基本理念、国および地方公共団体の責務、事業者の責務、発明者等の創造的活動を行う者の処遇、産・官・学の連携の強化、競争促進の配慮、法制上の措置等にわたるものである。
このなかには、知的財産立国の実現に関する施策の迅速かつ重点的な推進を図るため、知的財産戦略本部を設置することが要請されている。これに基づいて、内閣に知的財産戦略本部が設置された。その事務局は内閣官房に置かれており、内閣総理大臣がその本部長となっている。また副本部長には官房長官、科学技術政策担当大臣、文部科学大臣、経済産業大臣がなる。本部員の構成は、本部長・副本部長以外のすべての国務大臣のほか、内閣総理大臣が指名する有識者からなるものである。
知的財産戦略本部は、知的財産推進計画を作成し、その実施を推進すること、そのための企画に関する調査審議、施策の実施の推進ならびに総合調整などの事務を行うものとされている。知的財産推進計画は、これまでに2003年から2009年まで毎年公表されている。
[瀧野秀雄]
『小池晃著『知的財産戦略大綱と知的財産基本法――産業競争力への手がかり』(2002・日本法令)』▽『小池晃著『ここまで進んだ最新日本の知的財産戦略――その展開と展望』(2005・日本法令)』▽『角田政芳編『知的財産権六法』(2009・三省堂)』