3~30メガヘルツの短波帯電波を使用して行う音声放送。短波帯の電波は地上200~400キロメートルに存在する電離層(F層)によって反射され、3000~4000キロメートル離れた所まで伝わる。さらに地表面と電離層の間で反射を繰り返しながら地球の裏側にまでも伝わっていく。短波帯電波のもつこの特色から、短波放送はもっぱら国際放送に用いられている。しかし変動しやすい電離層を利用する放送だけに、受信側には音が大きくなったり小さくなったりするフェージング現象が現れ、音質の劣化は避けられない。また、放送対象地域により使用に適した周波数が存在するが、これも電離層の状態に応じて年、季節、日、時刻によって変化する。したがって、短波放送は複数の周波数を用いて放送され、これもときどき変更される。
日本における短波放送には、NHKの国際放送「NHKワールド・ラジオ日本」と、日経ラジオ社の国内放送「ラジオNIKKEI」とがある。「NHKワールド・ラジオ日本」は日本語を含め、英語など18の言語を用いて1日延べ58時間40分世界各地に日本からの情報を送り続けている(2014年時点)。また中国国際放送、KBSワールドラジオ(韓国)、ベトナムの声、ロシアの声などのように、日本向けに日本語放送を行っている外国の放送局もある。なお、短波帯電波による国際放送を実施している放送局として、ヨーロッパではイギリスの「BBC world service」、またアメリカでは「Voice of America(VOA)」が有名である。これらの国際放送実施局では、その受信報告に対してそれぞれ特色のある受信確認証verification card(ベリカード)を発行しており、これを求める短波放送愛好者も多い。
[木村 敏・吉川昭吉郎]
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6~30MHzの短波を使った放送。電離層の反射によって遠距離に伝搬するので,もっぱら国際放送に利用されている。第2次大戦前のドイツの宣伝戦に利用されたことで注目を浴びるようになった。しかし,国際関係の複雑化が進行するにつれ,短波帯の使用は過密化し,それぞれの国はより強力な電波で短波放送を行おうとする結果,混信問題がつねに生じている。日本ではNHKが国際放送を短波帯で行っているほかに,日本短波放送が唯一の国内向けの短波放送サービスを行っている。
執筆者:後藤 和彦
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…後述するミニFM放送などが境界線上に位置している。
【ラジオ放送】
[分類]
ラジオ放送は,利用する電波の周波数によって中波放送,短波放送,超短波放送に分けられたり,あるいは,その変調方式から,振幅変調のAM放送(中波)と周波数変調のFM放送(超短波)に分けられたりする。AM放送は広いサービス範囲と簡便な受信形態に,短波放送はその電波の到達距離の長さから主として海外放送への利用に,またFM放送は高品質とステレオ放送にそれぞれその特徴がある。…
※「短波放送」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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