石垣原(読み)いしがきばる

改訂新版 世界大百科事典 「石垣原」の意味・わかりやすい解説

石垣原 (いしがきばる)

大分県別府市の中央部,鶴見岳東麓に広がる扇状地で,扇端部は直接別府湾に接する。鶴見原ともいう。春木川,境川,朝見川の形成する扇状地およびその周辺には別府八湯があって,日本最大の温泉地帯をなす。明治中期までは自然湧出泉のみであったが,扇状地内での温泉掘削は1970年代からとくに進んできている。大分自動車道が扇状地の中央部を貫通し,付近の住宅地化が著しい。この地は1600年(慶長5)大友義統黒田孝高に敗北し,大友氏が滅亡することになった古戦場としても有名である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「石垣原」の意味・わかりやすい解説

石垣原
いしがきばる

別称鶴見原 (つるみばる) 。大分県中部,別府市域の中央,大平山 (扇山) 東麓から別府湾西岸に広がる扇状地鶴見岳爆発の際の泥流によって形成されたと考えられる。扇央溶岩円頂丘 (鐘状火山) の実相寺山がある。明治以前は雑木林ススキの未開発地であったが,現在は住宅地が扇央部まで進んでいる。周辺部に別府八湯といわれる鉄輪 (かんなわ) ,明礬 (みょうばん) ,堀田 (ほりた) ,別府などの温泉がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「石垣原」の意味・わかりやすい解説

石垣原
いしがきばる

大分県別府市の中北部にある火山性扇状地。旧鶴見(つるみ)層状火山爆裂による残片と考えられる大平山(おおひらやま)(扇(おうぎ)山。792メートル)の東麓(とうろく)に広がり、形成はこの旧鶴見層状火山の泥流である。地名は、開発に際して岩礫(がんれき)を取り除いて垣をつくったことにちなむという。中世石垣庄(しょう)、近世石垣村があった。近年温泉掘削と住宅地化が扇央全面に及び、畑と松林は一部に残るだけとなった。

[兼子俊一]

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