一般的には
別府湾という名称が一般に広く用いられるようになったのは明治一六年(一八八三)の水路部海図に「別府湾(かんたん湾)」と記されてからで、それ以前は
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
大分県中部,国東(くにさき)半島と佐賀関(さがのせき)半島にはさまれた湾。ハスの花に似たU字形であることから菡萏(かんたん)湾の別名をもつ。成因は,北側の鹿鳴越(かなごえ)断層と南側の朝見断層の二つの断層線にはさまれた地溝帯とするのが一般的であるが,カルデラ湾とする説もある。湾北西隅の日出(ひじ)湾付近以外は沿岸近くまで水深が深く,中央部では約60m内外である。北部の杵築市守江湾付近ではアマノリの養殖が盛んである。別府温泉をひかえる西部の別府港は阪神や四国と結ぶ諸航路の発着地,南岸の大分市鶴崎地区は石油化学や製鉄を中心とする臨海工業地域である。湾奥の別府市沖合にあった瓜生(うりう)島と久光(ひさみつ)島は,1596年(慶長1)の地震で海底に没したといわれるが,瓜生島にあって南蛮貿易の拠点港であったとされる沖ノ浜の遺跡の調査が行われた。
執筆者:勝目 忍
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
大分県東部、国東(くにさき)・佐賀関(さがのせき)両半島に囲まれる湾。その名は湾奥の別府温泉によるが、別名の菡萏(かんたん)湾は室町末期、この地に遊んだ明(みん)人阮林(げんりん)の命名で、ハスの花が開きかかった形を意味する。原形は東西方向の地溝帯、あるいはカルデラといわれ、東部が陥没、西部に火山が噴出して、U字形の湾ができたと考えられている。水深は中央部で50メートル前後、高崎山の下では70メートルを超える。島はないが、大分・別府沖にあった瓜生(うりう)島・久光(ひさみつ)島が慶長(けいちょう)の地震で海没したとの伝説がある。イワシ、タイ、カレイ、クルマエビなどの漁獲がある。南岸の大野川、大分川などのデルタに県都大分市があり、遠浅を埋め立てて臨海工業地帯が造成され、大分港は鉄鉱石・石油の輸入、東端の佐賀関港は銅鉱の輸入が多く、西岸の別府港は客船の出入りが多い。北岸には杵築(きつき)・日出(ひじ)の旧城下町がある。
[兼子俊一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…外海部と焼火山周辺は大山隠岐国立公園に属し,大絶壁と奇岩で知られる国賀(くにが)海岸は隠岐を代表する景勝地で,夏は観光客でにぎわう。島の北端の沖合にある星神(ほしがみ)島はオオミズナギドリの繁殖地,別府湾はクロキヅタの産地で,両者ともに天然記念物である。【赤池 享一】。…
※「別府湾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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