破提宇子(読み)はでうす

精選版 日本国語大辞典 「破提宇子」の意味・読み・例文・類語

はでうす【破提宇子】

  1. ( 「提宇子」はデウスあて字 ) 江戸初期の排邪書。一巻。ハビアン著。元和六年(一六二〇成立キリスト教教理の不合理性を批判した書。著者は禅僧恵俊(恵春とも)で、キリシタンとなりハビアンと命名され、伝道書「妙貞問答」を著わし、後に再転向して本書を著わした。最初のキリシタン批判の書。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「破提宇子」の意味・わかりやすい解説

破提宇子
はだいうす

「はでうす」「はぜうす」とも読む。提宇子は Deus (神,天主) のあて字。キリシタン興隆期の日本イルマン (伊留満)として名高いハビアンが,伝道書『妙貞問答』を著わしたのち翌年か翌々年の慶長 12 (1607) 年頃に棄教して,元和6 (20) 年正月に著わしたキリシタン批判の書。その批判の理論は『妙貞問答』の主張の論理のまったくの裏返しであり,その間に内面的,思想的発展はみられない。しかし一書にまとめられた反キリシタン書としては最初のものであり,かつて教会内部にあった者の著書であるため内容的にもすぐれており,当時の知識人のキリシタン理解の程度を知りうるとともに,のちの排耶書に素材と論点とを与えた点で,無視しえぬ史料的価値をもつ。 G.エリソン英訳がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「破提宇子」の意味・わかりやすい解説

破提宇子 (はだいうす)

キリシタンの神,提宇子(デウスDeusの当て字)を論破するの意で,棄教した元イエズス会イルマン,ハビアン(不干斎)が,将軍徳川秀忠へ献上するために著したもの。〈はでうす〉とも。著作地は長崎刊行は1620年(元和6)。キリシタン時代の日本人が著した唯一の反キリシタン書で,後年排耶書に素材を与え,幕末・明治期に復刊されるなど,影響は大きい。《日本思想大系》25所収。
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旺文社日本史事典 三訂版 「破提宇子」の解説

破提宇子
はでうす

江戸初期のキリシタン教理批判の書物
1620年刊。転びイルマンのファビアンの著。その後の日本におけるキリスト教排斥の理論的根拠となった。

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世界大百科事典(旧版)内の破提宇子の言及

【破提宇子】より

…キリシタンの神,提宇子(デウスDeusの当て字)を論破するの意で,棄教した元イエズス会イルマン,ハビアン(不干斎)が,将軍徳川秀忠へ献上するために著したもの。〈はでうす〉とも。著作地は長崎,刊行は1620年(元和6)。キリシタン時代の日本人が著した唯一の反キリシタン書で,後年の排耶書に素材を与え,幕末・明治期に復刊されるなど,影響は大きい。《日本思想大系》25所収。【井手 勝美】…

※「破提宇子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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