硫化コバルト(読み)リュウカコバルト

化学辞典 第2版 「硫化コバルト」の解説

硫化コバルト
リュウカコバルト
cobalt sulfide

】二硫化コバルト:CoS2(123.06).酸化コバルト(Ⅱ)と硫黄とを融解すると得られる.黒色の粉末.密度4.27 g cm-3.空気を断って加熱すると,CoSと硫黄とに分解する.水に不溶,硝酸および王水に可溶.[CAS 12013-10-4]【】四硫化三コバルト:Co3S4(305.06).天然には,硫コバルト鉱として産出する.粉末コバルトを硫化水素中で400 ℃ に加熱すると得られる.黒灰色結晶.密度4.5~4.8 g cm-3.室温,乾燥空気中では安定である.680 ℃ でCoSと硫黄に分解する.酸に可溶.【】硫化コバルト(Ⅱ):CoS(91.00).Co溶液硫化アンモニウムを加えると黒色のα形CoSが得られる.このものはCo(SH,OH)2で,溶液のアルカリ性に応じてOH量が異なる.この沈殿は生成直後には酸に溶けるが,放置すると酸に溶けなくなる.金属コバルトを硫黄と強熱するとβ形のCoSが得られる.β形は灰色の粉末.密度5.45 g cm-3.融点1135 ℃.水に不溶.[CAS 1317-42-6]【】八硫化九コバルト:Co9S8(786.92).黒色の立方晶系結晶.分解温度830 ℃.【】三硫化四コバルト:Co4S3(331.93).CoとCo9S8とから包晶として得られる.不安定な不定比性化合物である.一般に,硫化コバルトは混合原子価をとりやすく,個々原子酸化数は特定しがたいことが多い.硫化コバルトはコバルト顔料の製造コバルト触媒として有機物脱硫石油の水素脱硫用に用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android