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結縄 ケツジョウ

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デジタル大辞泉の解説

けつ‐じょう【結縄】

古く、文字のなかった時代に、縄の結び方で意思を通じ合い、記憶の便としたこと。中国・エジプト中南米ハワイなどで用いられた。沖縄で近代まで用いられていた藁算(わらさん)もその一つ。

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百科事典マイペディアの解説

結縄【けつじょう】

縄の結びによって数量や文字を表示する方法。インカ帝国時代にはキープという結縄が数量の記録に用いられ,その専門家はキープ・カマヨク(キポカマヨ)と呼ばれ,特に納税事務の不可欠の手段であった。
→関連項目結びロッパ(珞巴)族

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世界大百科事典 第2版の解説

けつじょう【結縄】

縄の結びによって記憶や記録の手段にする,原始的な一種の記録法。文字をもたない未開社会にはしばしばこのような習慣があり,中国,日本,南北アメリカオーストラリアなどにそのなごりをとどめている。とくに古代ペルー(インカ帝国)のキープquipuと沖縄の藁算(わらざん)は有名である。インカにおけるキープは文字に代わる唯一の記録法で,これを使ってインカは自国の人口調査や統計,穀物倉庫の貯蔵量,軍隊の人数,採金の量などあらゆるものを記録し,統計をとって保存していた。

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大辞林 第三版の解説

けつじょう【結縄】

文字をもたない社会で、縄なわの結び方によって数量などを表示・記録したり、意思を通じたりすること。古代ペルーのキープや沖縄の藁算わらさんなど種々ある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

結縄
けつじょう

結縄文字」のページをご覧ください。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

結縄
けつじょう

縄およびその結びによってものを記録する一種の文字。中国古代に、文字のかわりに縄を結んで政令の符号としたことを「結縄の政(まつりごと)」とよんだというが、文字のない文化において、この数の表記法が用いられた例は、南北アメリカ、オーストラリア、日本などで知られている。[増田義郎]

沖縄の結縄

沖縄では、藁算(わらさん)またはサンとよばれる結縄による数字の表記があり、おそらく旧藩時代以前から用いられていたらしいが、農民に対する禁字政策が行われたため、島津藩支配下の沖縄の民衆の間で広く用いられた。サンは藁、藺(い)、タコノキの気根などを材料としてつくられた。そのおもな機能は数字の記録にあり、人口、貢納額、材木の大きさ、家畜の頭数などが示された。とくに人頭税が課せられた旧藩時代から、それが廃止された1903年(明治36)ごろまで、納税の告知や徴税吏の記録として広く使用されたが、民衆の側からすれば、役人による不正徴収を防止するため、サンによって税額を記録し、蔵元の原簿と照合させる意味もあった。サンの方法は島によってまちまちだったが、直列型と束ね型の2種類があり、また、1、10、100、1000などを表すのに縄や藁の先端を輪で結ぶなどの方法は共通していた(図A)。サンは今日では廃れて用いられないが、那覇などの質屋で、質物をくくる紐(ひも)に結び目をつくり、質入れ月や金高を記録する方法は第二次世界大戦前まで行われた。また八重山(やえやま)やその離島では、藁算の儀礼的使用が残っている。すなわち、御算(うたき)に奉納米とともに氏子の数を縄に結んで供えるのである。[増田義郎]

南アメリカの結縄

南アメリカの中央アンデス地方に栄えたインカ文化(15~16世紀初め)でも結縄は広く用いられた。結縄はキープquipu, khipuとよばれ、先インカ期にも使用例があって、民衆間で穀類の収穫高や家畜の頭数などを表すのに使われていたらしいが、インカ帝国という一大組織が成立するに及んでその使用が複雑化し、キープカマヨックkhipu kamayoq, quipu camayocとよばれる専門家集団が形成されて、国家機関で必要とする統計記録を管理するようになった。キープに用いられた縄は、綿または羊毛を撚(よ)り合わせてつくった。通常、一端は結び、他の端は輪状にする。まず太い縄を用意し、より細い縄の輪状の端を図Bの(1)のように結び付ける。インカ文化においては厳密な十進法が用いられ、細い縄の結び目の数によって1から9までの数が表され(図Bの(2))、位取りによって10以上の数が表記された。通常は太縄からもっとも遠い結び目が1位の数を表し、近づくにつれ10位、100位の数が表された。また、いくつかの細縄に別の縄の端の輪をからげて枝をつくった(図Bの(3))。これは、からげた細縄全部が示す数の合計を表す(図Bの(4))。これら上下の細縄には、必要に応じて補助縄をつけた。そこで全体として、キープの数字表記システムは、図Bの(5)のようにテーブル化できる。このようにして、1本の太縄に数本から数百本の細縄がつけられ、さらに細縄は着色されて、さまざまの種類の統計が記録された。着色がどのような意味をもっていたのかは不明である。何人かのスペイン人記録者や学者がそれについて言及し、たとえば黄色は金、白は銀、緑は戦士を表す、などといっているが、信憑(しんぴょう)性は薄い。また、ある記録者によると、キープは数字表記だけでなく、歴史的な事件を記録するための補助手段としても使われたという。キープカマヨックはスペイン植民地時代まで残存したが、やがて消滅した。しかし高原地方の牧民、農民の間では、キープは20世紀まで使用され続けた。[増田義郎]
『M. & R. Asher Code of the Quipe (1981, Ann Arbor & R.)』

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世界大百科事典内の結縄の言及

【結び】より


[結びによる記録と伝達]
 文字のまだない時代には,木に刻んだ印と縄の結びが情報の伝達や記録に大きな役割を果たした。中国には〈結縄の政〉という言葉があり,周易の《繫辞》下伝には〈上古結縄而治,後世聖人易之以書契〉とあって,中国においても文字以前に〈結び〉による伝達方法のあったことを伝えている。一方,沖縄では第2次世界大戦中まで藁(わら)を用いた〈藁算〉が文字を知らない民衆の間で,数量の記録,計算,納税事務などの算法として使われていた。…

※「結縄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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