硬鱗魚類(読み)こうりんぎょるい(英語表記)ganoid fish

日本大百科全書(ニッポニカ) 「硬鱗魚類」の意味・わかりやすい解説

硬鱗魚類
こうりんぎょるい
ganoid fish

硬骨魚綱条鰭(じょうき)亜綱に属する古代魚のなかで、硬鱗をもつ魚類の総称。チョウザメ類Acipenseriformes、ビチャーbichirとロープフィッシュropefishが属する多鰭類(たきるい)Polypteriformes、ガーパイクgarpikeの鱗骨類Lepisosteiformes、および化石種のアミア類Amiiformesが含まれる。アミア類の現存のボーフィンbowfinは薄い円鱗になっている。硬鱗は内外2層からなり、光沢のある外側をガノイン層、その下側の骨細胞を備えた部分を板骨層(ばんこつそう)という。この鱗(うろこ)は体表で菱(ひし)形の長い対角線が体軸に対して斜方向になるように配置され、相互に固着するのが特徴である。しかし、チョウザメ類では蝶(ちょう)のような形をした硬鱗が列状に並ぶ。古い型の魚の特徴として、目の後方に1対の噴水孔があり、腸の内面に螺旋(らせん)弁をもち、チョウザメ類を除いて、うきぶくろは肺のような構造になっていて、それによって空気を呼吸する。

 硬鱗魚類は古生代から中生代にかけて栄えた。しかし、現在では勢力を失い、限られた地域に生息している。チョウザメ類は2科6属27種が現存し、北半球の中緯度から高緯度地域にかけての冷水域に分布し、とくにカスピ海に多い。多鰭類は1科2属16種ほどがアフリカナイル川大西洋に注ぐ河口に、鱗骨類は1科7種が現存し、北アメリカ東部および中部キューバなどの淡水域に限って分布する。

落合 明・尼岡邦夫 2015年1月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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