磁気ドラム(読み)じきどらむ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「磁気ドラム」の意味・わかりやすい解説

磁気ドラム
じきどらむ

コンピュータ記憶装置に用いられるものの一種。円筒状の物体表面に磁性物質の被膜を施し、これを高速回転させ、表面に記録を読み書きするための磁気ヘッドを近接して多数個設置する。ヘッドの近接する円周に沿って情報を記録することができる。磁気ドラム記憶装置は、初期の真空管式のコンピュータの主記憶装置としてよく用いられたが、主記憶装置として用いるには、アクセスタイム(記録の読み書きに要する待ち時間)が長すぎるため、近年ではほとんど用いられなくなった。そのかわりに大型コンピュータの大容量補助記憶装置として、より大規模な磁気ドラム記憶装置が用いられるようになったが、これも、磁気ディスク記憶装置のほうが装置の容積当りの記憶密度が高いため、磁気ディスク装置にとってかわられた。

[小野勝章]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「磁気ドラム」の意味・わかりやすい解説

磁気ドラム【じきドラム】

コンピューター記憶装置の一種。表面に磁性材料を塗った回転円筒のまわりに磁気ヘッドを多数おいて,磁化方向により書込み・読取りを行わせる。高速回転型と,低速であるが容量の大きい型とがある。高精度で,外部記憶装置に用いられたが,磁気ディスク進歩により使われなくなった。
→関連項目端末装置

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「磁気ドラム」の意味・わかりやすい解説

磁気ドラム
じきドラム
magnetic drum

金属製の円筒 (ドラム) の表面に磁性材料を塗布し,回転させることによって情報の記憶と読出しをするものである。磁気ディスクに比べて記憶容量は小さいが,アクセスタイムをある程度速くとれるので,マルチプログラミングのコンピュータなどで,ページングや待ち行列にあるプログラムなどの待避場所として用いられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の磁気ドラムの言及

【記憶装置】より


[磁気記憶装置]
 強磁性体の磁化特性を利用した記憶媒体を使った記憶装置を磁気記憶装置という。磁気記憶装置で使われる記憶媒体として,1950年代には磁気ドラムが使われたこともあるが,その後長期にわたって磁気ディスクや磁気テープが主流だった。磁気ディスクとしては,後述するハードディスク(固定ディスク)やフロッピーディスクなどがある。…

※「磁気ドラム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android