改訂新版 世界大百科事典 「磁気軸受」の意味・わかりやすい解説
磁気軸受 (じきじくうけ)
magnetic bearing
機械類で回転軸を支持するには軸受が用いられる。軸受としては,すべり軸受,ころがり軸受を用いるのが一般的であるが,これらには小さいながら摩擦抵抗がある。磁気軸受とは,軸を支えるのに磁石の吸引力,または反発力を利用し,機械的接触のない状態で軸を支える軸受で,摩擦抵抗が極端に小さく,摩耗がないのが特徴である。一定の磁気力を用いる無制御型と,磁気力を電気的に制御して所要の性能を得る制御型とがあり,さらに後者の場合,電磁石に流す電流により直流型と交流型とがある。また一般の軸受と同様,支持する荷重の方向によりラジアル軸受,スラスト軸受の区別がある。磁気軸受の応用例としては,摩擦抵抗がきわめて小さいことを要する航空機用ジャイロの軸受,原子力用ウラン遠心分離機の軸受,低温技術における膨張機の軸受などがあるが,いずれも特別に高度な性能を要求される場合で,使用例はまだあまり多くない。
→軸受
執筆者:堀 幸夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報