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社会生物学 シャカイセイブツガク

デジタル大辞泉の解説

しゃかい‐せいぶつがく〔シヤクワイ‐〕【社会生物学】

動物社会学の新しい流れで、現代的な自然選択理論に基づき、動物の社会的な行動や現象を遺伝的な適応の面から研究する学問利他行動や家族内対立関係などを探る。方法として集団遺伝学モデルや適応戦略分析、野外の動物観察データなどが用いられる。

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百科事典マイペディアの解説

社会生物学【しゃかいせいぶつがく】

動物の社会および社会行動を適応的な遺伝形質の進化という観点から統一的に説明する学問分野。従来の動物社会学,動物行動学,個体群生態学,集団遺伝学などを統合したもので,1970年代以降,世界の動物生態研究の主流となっている。
→関連項目ウィルソン

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世界大百科事典 第2版の解説

しゃかいせいぶつがく【社会生物学 sociobiology】

アメリカの動物学者E.O.ウィルソンが1971年に提唱し,75年に同名の著書で展開した学問体系のこと。従来,別個に進められてきた個体群生態学,集団遺伝学,動物行動学(エソロジー),動物社会の比較研究の成果を統合して,各種の生物がなぜ異なる社会関係(同種個体間の関係)を示すのかという問題を解明し,人間も含む動物社会進化の統一理論を打ち立てようとしたもの。動物の社会には縄ばり,一夫多妻制といった現象から,働きバチが示すような利他的行動子殺しのような一見異常な行動までが認められる。

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大辞林 第三版の解説

しゃかいせいぶつがく【社会生物学】

生物の社会的行動および社会構造の進化を現代の遺伝学や生態学の知見を基盤にして解明しようとする研究分野。 E = O =ウィルソンは生物社会の考察を人間社会にも適用しようとしたが、これに対しては批判も多い。行動生態学。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

社会生物学
しゃかいせいぶつがく
sociobiology

ヒトを含む動物の社会行動について、自然淘汰(とうた)をおもな要因とする進化過程の結果形成されたものとの考えに基づき、エソロジーや生理学など関連分野の知見を加えて研究する学問。アメリカの生態学者ウィルソンE. O. Wilsonが1971年に提唱し、さらに75年『社会生物学』を著して展開した。対象をヒト以外の動物に限定して行動生態学ともいう。社会生物学では次の二つの考え方が重要である。
(1)行動を支配する遺伝子は、それを所有する個体自身の生存や繁殖を犠牲にしても、遺伝的に近縁な他個体の繁殖成功度を十分に高めることができれば広がりうる。この血縁淘汰kin selectionとよばれるプロセスの結果、近縁個体に向けられた利他的行動は進化しやすいことになる。定量的には、生物が自身の繁殖成功度に近縁者の利他的行動を血縁の度合いで重みづけして加え合わせた量で、包括適応度inclusive fitnessとよばれるものを大きくする行動をとるように進化する。
(2)ある社会行動のもたらす適応度は、一般に集団中の他個体の行動に依存する。このときに生物進化の結果実現する行動は、それと異なる行動をとる少数の侵入者が広がりえないという意味で進化的に安定な戦略evolutionary stable strategy(ESS)となっているはずである。それは、集団中の個体がそれぞれに最適の挙動をとるゲームにおける非協力平衡解ともみなしうる。
 これらの概念に基づいたモデルを用いて、一夫多妻か一夫一妻か、いずれの性の親が子を世話するか、縄張り(テリトリー)をつくるか群れをなすかなどが、それぞれいかなる生態的条件下で進化するのかを、また本来、競争関係にある動物の間にどのようにして協力が成立し、さらには、たとえばミツバチで働きバチの自己犠牲的行動が進化しうるかを研究する。
 同様のアプローチで人間社会を扱う試みがなされている。ただし、ヒトの行動は大部分学習によって獲得されるのであるが、その学習能力自体には進化の結果得られた遺伝的基礎があり、どのような文化を形成しやすいかの決定には自然淘汰のプロセスが大きく寄与してきたと考える。文化人類学・社会学における現象のどれだけが進化生態学の観点より解明されうるか、また文化の継承・伝播(でんぱ)と遺伝子の働きがどのように絡まっているかは重要な研究課題である。[巌佐 庸]
『E・O・ウィルソン著、伊藤嘉昭監訳『社会生物学』全5分冊(1983~85・思索社)』

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世界大百科事典内の社会生物学の言及

【生態学】より

…この問題も1960年ころから主として個体群生態学の延長上に追求されるようになり,進化生態学とか行動生態学とか呼ばれてきた。このアプローチを社会行動にまでさらに延長したのが社会生物学であるといえよう。これはもう生態学ではなくて,生態学と行動学と進化学の境界に生まれた新しい科学だというべきかもしれない。…

【生物学】より


[生態学の発展]
 生物学を大きく二つに分けると,個体の生命現象を解析的に追究する方向(広義の生理学)と,個体から発して個体間,種間,個体と環境など,関係を外へ求めていく方向(広義の生態学)がある。後者は本来の生態学のほかに,動物心理学と生理学の一面,動物行動学,社会生物学,生物社会学,生物地理学,進化の問題などを含む。ただし,形態形成などの問題では細胞を単位としてとらえることが必要で,これは第3の立場(広義の細胞学)といえるかもしれない。…

※「社会生物学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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