社団の構成員たる社員の総意によって社団の意思を決定する会議体の機関。株式会社においては株主総会と呼ばれるので,通常社員総会というときは,公益社団法人,有限会社および相互会社の場合をさす。社員総会の地位や運営の方法は,それぞれの社団の性格や目的により一様ではない。
公益社団法人の社員総会は,とくに役員に委任した事項のほか,社団におけるすべての事項を決定する権限を有する(民法63条)。総会は,少なくとも毎年1回開かれる通常総会(60条)と,必要がある場合に随時招集される臨時総会(61条,59条4号)とがある。招集権者は原則として理事である。総会を招集するには,遅くとも会日の5日前に会議の目的たる事項を示し,定款に定めた方法に従って社員に通知もしくは公告しなければならない(62条)。各社員は原則として平等の表決権を有し(65条1項),総会に出席しない社員は書面または代理人によって表決権を行使することもできる(65条2項)。決議は原則として行使された表決権の過半数をもって決するが,定款変更および解散については原則として総社員の4分の3以上の同意を要する(38,69条)。
有限会社の社員総会は,有限会社では所有と経営の分離という現象が顕著ではないので,株主総会と異なり,とくに法により除外されない限り会社に関するいっさいの事項について決定する権限を有し,会社の最高かつ万能の機関たる地位を有している。また,比較的少人数による小規模の企業に適するように,株主総会に比べて諸般の手続が簡易化され,かつ,弾力的になっている。すなわち,招集通知には一定の場合を除き議題の記載は不要であり,招集通知期間も短縮可能とされており(有限会社法36条),総社員の同意があるときは招集手続をまったく省略することもできる(38条)。総会においては各社員は原則として出資1口について1個の議決権を有するが,定款をもって別段の定めをすることができ(39条但書),頭数主義を採用することも可能である。総会の特別決議の要件は株主総会の場合より加重され,頭数が問題となる(48条)。また,決議の方法として,書面による決議をもって総会の決議に代えることが認められている(42条)。
相互会社の社員総会は,株主総会に関する規定がほとんど準用されている(保険業法41条)。ただし,社員の議決権は,原則として社員1人につき1個とされている(37条)。また,相互会社においては,社員総会は必要・不可欠の機関ではなく,定款をもって社員総会に代わるべき機関を定めることができる(42条1項)。通常これを社員総代会と呼んでいる。この総代会の権限,総代の議決権などは,社員総会,社員とほとんど同じである(49条,43条など)。
→株主総会
執筆者:青竹 正一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 みんなの生命保険アドバイザー保険基礎用語集について 情報
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