律令制下,民間で行われた私稲の貸借。令の規定では私稲の出挙も認めており,利息は10割を限度としていたが,711年(和銅4)5割以下とした。さらに737年(天平9)稲穀の私出挙自体を禁止し,違反者には違勅罪を科し,稲は没官(もっかん),国・郡司は解任することが定められた。公(く)出挙の円滑な運営を図るための施策であろう。これ以後,私出挙は一貫して禁止されたが,実際にはほとんど守られなかった。また銭貨私出挙についても,797年(延暦16)に利息は5割を限度とすることとされた。
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…したがって中世になると,飢饉の際,荘園領主と荘民との間で年貢公事などの減免や領家の倉からの穀物施与などの措置がとられるようになったが,朝廷としての備荒対策はほとんどとられなくなっていく。また一般的には,飢者は富裕者が私的に蓄えた穀物などをもって行う私出挙に頼らざるをえなくなる。私出挙は律令制下でも存在したが,10世紀以降の公共機能の低下にしたがって,飢饉の際もっぱらこれに依存することになっていく。…
…【池田 温】
【日本】
[古代]
出挙は大化前代から屯倉(みやけ)や国造領で行われていたが,制度的に整備されるのは7世紀末から8世紀初頭である。出挙には公的な性格をもつ公出挙(くすいこ)と民間における私出挙がある。令の規定では債務契約は官の処理を経ない自由契約によること,複利計算は許されず利息は10割を限度とすること,債務不履行の際において質物で返済できないときや質物契約のない場合は家財が差し押さえられること,それでも不足するときは労働によって弁済することなどが定められている。…
…ちなみに,ドイツ(民法138条2項,246条,刑法302条の1),オーストリア(民法879条),スイス(民法21条),フランス(民法1907条)では暴利禁止の規定を設け,イギリスではMoneylenders Act(1900‐27)で過酷不当な高利を禁止している。 日本でも,古く律令時代に私人間の利息付貸籾契約である私出挙(しすいこ)(出挙)を禁止し,武家法時代にも利息制限に関する法制をみるが,近代法典として制定されたのは,1877年の太政官布告旧利息制限法によってであった。これは,主として消費信用における高利貸の不当な徴利を防止するために制定されたものである。…
※「私出挙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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