私市村(読み)きさいちむら

日本歴史地名大系 「私市村」の解説

私市村
きさいちむら

[現在地名]福知山市大字私市、綾部市私市町

西流する由良川右岸に位置し、支流相長あいおさ川の谷の入口一帯を占める。村内は上私市(現綾部市)・下私市(現福知山市)に分れ、下私市の西は川北かわぎた村、北は報恩寺ほおじ村、南は由良川を隔てて観音寺かんのんじ村・おき村に対する(綾部市の→私市村

江戸時代の私市村は何鹿いかるが郡に属し、初め福知山藩領であったが、寛文八年(一六六八)福知山城主松平忠房が肥前島原しまばら(現長崎県島原市)転封となり、私市村は代官支配下に入り、遠山主殿頭(陸奥国磐前郡湯長谷藩主)一六二石余、旗本武田越前守五七五石余、同杉浦内蔵丞六四三石余の領地または知行所となった。


私市村
きさいちむら

[現在地名]交野市私市・私市一―九丁目・私市山手きさいちやまて一―五丁目・天野が原あまのがはら町一―二丁目・同四―五丁目・妙見坂みようけんざか一丁目・同七丁目・森北もりきた一丁目・私部南きさべみなみ四丁目

森村の南西、天野川沿いの山地とその谷口扇状地を占め、村の中央を天野川と並行する磐船いわふね街道が通る。村の東部に生駒山地に属する普見ふけん山があり、獅子窟ししくつ(私市の岩屋)・獅子窟寺があることで知られる。元禄二年(一六八九)二月当地を訪れた貝原益軒は、「南遊紀行」に「私市は、(郡)津より三十町許有、私市村に観音寺とて寺有、古昔亀山法皇、獅子の窟へ御幸の時、此所に御車をとゞめさせ玉ふ、近世其所に寺を立と云、今夜は私市村農長二左衛門が家にやどる、此辺は旅人の通路にあらざれば、村民いづれも行客をいぶかしみて、宿を借さずといへども、二左衛門情有て宿をかし」と記し、翌日獅子窟に登って「凡此山、大石奇石多く、又糸桜多し、今日幸にして花盛也、山上より大坂、尼崎、高槻、枚方眼前に眺望す、天の川眼下にながる、最佳観也」と感懐を述べている。


私市村
きさいちむら

[現在地名]綾部市私市町、福知山市大字私市

由良川北岸の山麓台地に位置し、南は由良川の沖積地が広がる。村内は上私市かみきさいち(現私市町)と下私市(現福知山市)に分れる。くり村の小貝おがい高津たかつ村を渡船で連絡する私市渡があった。

古代は私部きさいちべ(和名抄)中世は私市庄に属するが、天文一九年(一五五〇)の大志万一族知行目録(大志万家文書)に「私市むら」と出る。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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