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アキ

デジタル大辞泉の解説

あき【秋】

四季の第三。の間で、日本では9・10・11月をいう。暦の上では立秋から立冬の前日まで(陰暦の7月から9月まで)をいい、天文学では、秋分から冬至まで。昼が短く、夜が長くなる。この季節は涼しくさわやかで五穀や果物の収穫期でもある。しかし、一方では台風前線の影響で雨が降りやすく、「秋の空」など変わりやすいことのたとえにされる。やがて木々は紅葉し、草花は枯れて、冬へ向かう。 秋》「―深き隣は何をする人ぞ/芭蕉
盛りを過ぎること。終わりに近づいていること。「天下の」「人生の
和歌などで、男女の仲の冷める意味で「飽き」に掛けて用いる。
「かりそめにおく露とこそ思ひしか―にあひぬる我が袂(たもと)かな」〈山家集・下〉
[補説]暑さの厳しい夏を過ごして、さわやかな秋になると人々の活力も回復し種々な面での活動も盛んになる。それを表現して「芸術の秋」「読書の秋」「食欲の秋」「実(稔)りの秋」「スポーツの秋」などといわれる。また、特別重要な時期の意で用いられる「危急存亡の秋」などの場合は「秋」を「とき」と読む。
書名別項。→

しゅう【秋】[漢字項目]

[音]シュウ(シウ)(漢) [訓]あき とき
学習漢字]2年
〈シュウ〉
あき。「秋季秋風秋分秋冷昨秋初秋仲秋麦秋晩秋立秋涼秋
年。年月。「春秋(しゅんじゅう)千秋
〈あき〉「秋風秋雨(あきさめ)出来秋
[補説]「龝」は異体字。
[名のり]あきら・おさむ・とし・みのる
[難読]秋刀魚(さんま)

あき【秋】[書名]

永井竜男短編小説。昭和49年(1974)、「新潮」誌に発表。翌年、第2回川端康成文学賞受賞。
中村真一郎による連作長編小説四季」の第3作。昭和56年(1981)刊行。

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百科事典マイペディアの解説

秋【あき】

天文学上では北半球なら秋分(9月23日ごろ)から冬至(12月22日ごろ)の前日までをいう。節気では立秋(8月7日ごろ)から立冬(11月7日ごろ)の前日まで,日本の慣習では9〜11月をいう。

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日本文化いろは事典の解説

「あき」は稲が成熟する「黄熱〔あかり〕」、秋空が清らかで曇りの無い事を表す「清明〔あきらか〕」、飽きる程の収穫が得られる事を表した「飽き満る〔あきみつる〕」、草木の葉が「紅く〔あかく〕」染まり、情緒溢れるなどの意味を持った季節です。

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世界大百科事典 第2版の解説

あき【秋】

夏から冬への漸移期にあたる季節をいう。秋の時期は時代や国によって異なる。古代中国では立秋(太陽の黄経が135゜になる日)から立冬(同225゜)の前日までを秋と呼んだ。現在の分け方は西洋流のものであって,北半球では秋分(太陽の黄経が180゜になる日)から冬至(同270゜)の前日までである。慣習的には,北半球では9,10,11月,南半球では3,4,5月が秋である。秋の気候的特徴は,季節の進行にともなう気温の急降下である。

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大辞林 第三版の解説

あき【秋】

四季の一。夏と冬の間の季節。太陽暦では9月から11月まで。陰暦では7月から9月まで。また、二十四節気では立秋から立冬まで。天文学上では秋分から冬至まで。昼が短く、夜が長くなる。五穀や果実が実り、やがて木々は葉を落とし、草花は枯れ、冬へと向かう。 [季] 秋。 「 -たけなわ」 「実りの-」
和歌などで、「飽き」にかけて用いる。 「わが袖にまだき時雨の降りぬるは君が心に-や来ぬらむ/古今 恋五」 〔特に重要なことのある時期の意で「秋」と書くことがあるが、この場合は一般に「とき」と読む。→

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


あき

温帯地方に現れる四季の一つ。日本では立秋(8月8日ごろ)から立冬(11月7日ごろ)の前日までを秋とする。月でいうと旧暦ではだいたい7、8、9月、新暦では8、9、10月である。西洋では秋分から冬至までを秋としているが、これは天文学上の区分けと同様である。気象学上では、1か月ずらして9、10、11月の3か月である。日本の古代の考え方では稲の刈り上げ前夜までが秋で、刈り上げの夜は冬であった。「あき」の語源は食物が豊かにとれる季節であることから、「飽(あ)き」からきているとする説、また稲が「あからむ」(熟)ことからきているとする説などがあるが、農村では収穫期を秋といい、出来秋(できあき)、米秋(べいしゅう)、麦秋(ばくしゅう)などの語がある。
 秋の天候は、温帯の各地でかならずしも同じような経過を示すわけではないが、気温がしだいに低下していく途中で現れる中休み現象としての小春日和(こはるびより)は欧米でも認められ、インディアン・サマーIndian summerとか、サン・マルタン・エテSt. Martin t(フランス語)とよばれている。なおイギリスでは秋はautumnを使うことが多いが、アメリカではfallを使うことが多い。
 日本の秋の季節的な特徴は次のとおりである。
(1)日本に来襲する台風の数は9月よりも8月が多い。しかし、9月や10月に本土が台風の影響を受けることが1年に1、2回はあり、災害をもたらす台風の来襲しやすい特異日として9月17日と26日がある。
(2)9月は残暑が目だつ年があったり、反対に早冷の年があったりして変動が大きいが、9月中旬から10月上旬までは雨が降りやすく、この雨期は普通、秋雨(あきさめ)とよばれている。台風による雨と、秋雨とが重なると、場所によっては被害をもたらす大雨となることもある。
(3)1年のうちで9月の降水量が最大である地点が多くみられる。10月も中旬以後は雨量がずっと少なくなり、秋晴れに恵まれるようになる。11月3日などは晴天に恵まれる特異日として知られている。
(4)秋の空を彩る典型的な雲は高積雲(こうせきうん)や巻積雲(けんせきうん)であり、これらは鱗(うろこ)雲、鯖(さば)雲などの俗名でよばれることもある。秋の雲の特徴は、夏の雲が上方に沸き立つ雲であるのに対し、水平に流れる雲であることである。
(5)11月になり本土の上を移動性高気圧が通過するようになると、よく晴れて朝方冷え込み、霜の降りるようなこともある。秋は、霜のほか、地面の冷却に伴われた、霧(川霧、盆地霧など)や露などの接地層内の微気象を反映した現象が数多く現れる。
(6)晩秋から初冬にかけ、冬の季節風の最初の吹き出しに伴われ、局地的に風が乱れ、にわか雨が降ることがあるが、これが時雨(しぐれ)現象である。[根本順吉・青木 孝]

文学の主題として

秋に対する季節意識はすでに『古事記(こじき)』や『万葉集(まんようしゅう)』からみられる。『古事記』中・応神(おうじん)天皇には春山の霞壮夫(かすみおとこ)に対して紅葉を擬人化した秋山の下氷壮夫(したびおとこ)が登場し、『万葉集』巻1には額田王(ぬかたのおおきみ)の春秋優劣を論じて秋を賞揚する歌が収められている。早くは歌垣などとのかかわりもあって春が歌に詠まれることが多かったが、奈良時代からは漢詩文の影響も加わり秋への関心が高まって、四季の部立(ぶだて)が設けられている『万葉集』巻8や巻10では秋の歌が圧倒的に多く、黄葉(もみぢ)や萩(はぎ)、七夕(たなばた)などが好んで詠まれており、巻8の山上憶良(やまのうえのおくら)の秋の七草、萩・尾花(おばな)・葛(くず)・瞿麦(なでしこ)・女郎花(おみなえし)・藤袴(ふじばかま)・朝顔を詠んだ歌は、都市貴族の新しい美意識を示している。
 『古今和歌集(こきんわかしゅう)』秋上の「ものごとに秋ぞ悲しきもみぢつつ移ろひゆくをかぎりと思へば」などに典型的にみられる秋の悲哀感は『万葉集』にはまだみられないが、『懐風藻(かいふうそう)』には「秋気悲しぶべし」(下毛野虫麻呂)、「詩境秋節を悲しぶ」(石上乙麻呂)などとあり、平安時代に入ると、『経国集(けいこくしゅう)』の嵯峨(さが)上皇以下君臣一体となって製作した「重陽節神泉花秋哀れぶべしの賦」などに代表されるように、悲しい秋の概念は定着した。「是貞親王家歌合(これさだのみこのいえのうたあわせ)」が秋を題にしているように、歌合や屏風(びょうぶ)歌などの盛行とともに季節を題材とした歌が多く詠まれ、『古今和歌集』では四季の意識が確立し、紅葉を中心に、月・きりぎりす・雁(がん)・鹿(しか)・萩・女郎花・藤袴・薄(すすき)・撫子(なでしこ)・菊・露などさまざまな歌材が類型化し、後世に季語などに発展していく歳時意識の基盤が形成された。
 春秋優劣の論議は平安時代に入って一段と関心をひき、凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)の『論春秋歌合』、『源氏物語』の六条院における紫の上と秋好中宮、『更級(さらしな)日記』長久(ちょうきゅう)3年(1042)の条、天喜(てんき)4年(1056)『皇后宮寛子春秋歌合』など、多くの例がみられる。『百人一首』の四季の歌のなかで秋が目だって多いことからもうかがわれるように、『枕草子(まくらのそうし)』や「三夕(さんせき)の歌」などからも知られる秋の夕暮れの情趣、中秋の名月や九月(ながつき)の有明(ありあけ)の月など秋の月の清澄艶麗(えんれい)な美しさ、恋の情緒にまつわる秋の夜長のわびしさなど、「もののあはれ」に代表される日本的な美意識中心性は、王朝文学のなかから生み出された秋の季節感ととくに関連が深い。[小町谷照彦]
『内田正男著『暦のはなし十二ヵ月』(1991・雄山閣出版) ▽市川健夫著『日本の四季と暮らし』(1993・古今書院) ▽倉嶋厚著『季節しみじみ事典――倉嶋厚の四季ものがたり』(1997・東京堂出版) ▽倉嶋厚著『季節ほのぼの事典――倉嶋厚の季節ノート』(1998・東京堂出版) ▽田中宣一・宮田登編『三省堂年中行事事典』(1998・三省堂) ▽饗庭孝男著『文学の四季』(1999・新潮社) ▽平沼洋司著『気象歳時記』(1999・蝸牛社) ▽新田尚監修、土屋喬ほか著『よくわかる天気図の読み方・考え方』(2000・オーム社) ▽橋本達雄著『万葉集の時空』(2000・笠間書院) ▽講談社辞典局編『四季のことば辞典』(2000・講談社) ▽倉嶋厚著『季節さわやか事典――倉嶋厚の四季覚え書き』(2001・東京堂出版) ▽山岸米二郎著『気象予報のための風の基礎知識』(2002・オーム社) ▽鈴木日出男著『源氏物語歳時記』(ちくま学芸文庫) ▽石寒太著『「歳時記」の真実』(文春新書)』

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世界大百科事典内のの言及

【季節】より

…地球は太陽のまわりを1年かかって公転しているが,地球の自転軸が公転面に対して約23度30分傾いているため,北半球についてみれば,夏至には太陽高度が最も高くて,昼間の時間が最も長く,地表で受け取る太陽エネルギーの量も最大となるのに対し,冬至には反対に,昼間の時間が最も短く,太陽エネルギーも最小になる。春分と秋分には昼夜の時間は等しく,太陽エネルギーの量は夏至と冬至の中間になる(図1,図2)。 昼夜の時間および気温の季節的な差は低緯度地方では小さく,緯度が増加するにつれて大きくなる。…

※「秋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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