改訂新版 世界大百科事典 「種まき機」の意味・わかりやすい解説
種まき機 (たねまきき)
seeder
作物の種子をまく機械。播種(はしゆ)機ともいう。種まきの様式によって,牧草や穀類などを地表面に散らしまきにする散播(さんぱん)機,穀類や野菜などを一定間隔のすじにまく条播機およびトウモロコシや豆類などを一定間隔のすじの上に一定間隔に1粒または複数粒ずつ(株まき)まく点播機がある。散播機は高速回転しているスピンナーと呼ばれる回転円板上に種子を落下させ,遠心力と円板上の突起によりはね飛ばすもので,スピンナーを手回しする携帯型人力散播機とトラクターで牽引するブロードキャスターがある。広い面積への播種にはヘリコプターや飛行機による航空播種が行われる。条播機はドリルdrillとも呼ばれ,その構造は,種子を入れるホッパー,種子を送り出す繰出し装置,種子を地上まで誘導する種子導管,地上に一定の深さの溝を切る溝切り器,溝に落ちた種子にかぶせる覆土器,その上を押さえる鎮圧輪などよりなり,一連の作業工程を行う機械である。一定量の種子を正確に地面に配置するためには繰出し装置の精度を高める必要があり,さまざまのくふうがなされている。ホッパーから種子をくみ出す方法には穴ロール式,溝ロール式,回転目皿式などがある。ニンジンのように不整形で小さな種子では繰出しにむらが起こるため,特殊な粘土で包んで直径3~4mmの球形にした被覆種子も利用されている。点播機の構造は,大部分は条播機と同じで,繰出し装置だけを交換することにより点まきとすじまきができる両者兼用のものが多い。
執筆者:岡本 嗣男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報