競技時計(読み)きょうぎどけい

改訂新版 世界大百科事典 「競技時計」の意味・わかりやすい解説

競技時計 (きょうぎどけい)

オリンピックなどの各種競技会において,タイムやスコアなどを瞬時計時および表示するのに用いられる装置。各種競技の正確な時間計測をおもな目的とするが,そのほか着順,コース,得点国名,チーム名,勝敗などの情報を併せて表示する機能をもつ装置を包含しており,また時間計測はスタートのピストル音に連動して作動を開始し,ゴールタイムを自動的に記録するなど,一連のシステムを構成している。競技の特殊性に応じ各種システムが構成される。表示された時間や得点が公式表示であることが基本であり,したがって各競技のルールにのっとった計時とその表示が前提であるが,競技によってはルール上まだ公式表示と認められていないものもある。

 競技時計は競技の性質上大別して2種類ある。一つは,短距離,マラソン水泳,自転車などの速さを競う種目で一定距離の所要時間を計測するものであり,もう一つは,バスケットボール,サッカーなどのように一定時間内の得点を競う種目の経過時間や残り時間を計測するものである。競技時計のシステムを水泳に例をとってみると次のように作動する。まずスタートのピストル音が同時にマイクロホンを通じてタイマーを始動させる。泳者がプール端のタッチプレートに触れると,それを感知してマイクロコンピューターが働き,瞬時に,コースナンバー,周回数,ラップタイム,ゴールタイムなどを計算して着順にプリントアウトし,一方,表示板にはスタートと同時に時刻と経過時間が表示され,さらにプリンターと同じデータも表示される。その他のタイムレースでもスタートの方式はだいたい同じであるが,種目によってゴールのタイムのとり方が異なる。例えば自転車では赤外線と光電管が使われ,自転車が赤外線をよぎったときにタイマーが作動する。また100m,200mなどの短距離走では,スリットカメラが使われ,写真に走者の身体部分とともにタイムが写し込まれ,順位とタイムはこの写真により決定される。タイムレースの計時の最低条件は1/100秒の精度が保証されることである。一方,経過時間を計測する種類の競技時計では,競技操作盤および時間操作盤でスタート,ストップ,タイムアウト,前半・後半・休憩の表示をインプット表示させる。経過時間はロスタイムを除いて刻々に表示される。なお,このような装置のほか,規模の小さな競技会や,競技時計が設置されない場合には各種のストップウォッチが用いられる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報