日本大百科全書(ニッポニカ) 「竹中平蔵」の意味・わかりやすい解説
竹中平蔵
たけなかへいぞう
(1951― )
経済学者、政治家。和歌山県生まれ。1973年(昭和48)一橋大学経済学部卒業後、日本開発銀行(現、日本政策投資銀行)に入行。ハーバード大学、ペンシルベニア大学客員研究員を経て、1982年から大蔵省財政金融研究室(現、財務省財務総合政策研究所)主任研究官。1987年大阪大学経済学部助教授。1989年(平成1)ハーバード大学客員準教授、IIE(アメリカ国際経済研究所)客員フェロー。1990年慶応義塾大学総合政策学部助教授、1996年同教授。規制緩和推進論者で、日本の経済政策に対して積極的な提言をする「実践指向の経済学者」として知られた。1998年、当時の首相小渕恵三(おぶちけいぞう)が発足させた経済戦略会議のメンバーとなる。IT(情報技術)の重要性を説き、2000年にはIT戦略会議(内閣総理大臣の諮問機関)で主導的役割を果たし、森喜朗(もりよしろう)内閣の経済政策ブレーンを務めた。2001年、旧知の小泉純一郎に懇請され、構造改革の推進役として小泉内閣の経済財政政策担当大臣(2002年に金融担当大臣を兼務)に就任した。2004年参議院議員に当選、小泉内閣の経済財政政策・郵政民営化担当大臣として郵政民営化にあたった。2005年には総務大臣・郵政民営化担当大臣となったが、2006年に小泉内閣が終了すると、議員の任期を残したまま政界を引退、その後慶応義塾大学の教授となった。経済理論・政策をわかりやすく説明する能力には定評がある。おもな著書に『研究開発と設備投資の経済学』(1984)、『日本経済の国際化と企業投資』(1993)、『ITパワー』(中谷巌(なかたにいわお)(1942― )と共著。2000)などがある。
[編集部]
『竹中平蔵、小川一夫著『対外不均衡のマクロ分析』(1987・東洋経済新報社)』▽『竹中平蔵著『日本賢国論』(1993・電通)』▽『竹中平蔵著『民富論』(1994・講談社)』▽『竹中平蔵著『経世済民――「経済戦略会議」の一八〇日』(1999・ダイヤモンド社)』▽『佐藤雅彦、竹中平蔵著『経済ってそういうことだったのか会議』(2000・日本経済新聞社/日経ビジネス人文庫)』▽『竹中平蔵著『あしたの経済学――改革は必ず日本を再生させる』(2003・幻冬舎/増訂改題『やさしい経済学』・幻冬舎文庫)』▽『竹中平蔵著『郵政民営化――「小さな政府」への試金石』(2005・PHP研究所)』▽『『構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌』(2006・日本経済新聞社)』▽『竹中平蔵著『闘う経済学――未来をつくる「公共政策論」入門』(2008・集英社インターナショナル)』