経世済民(読み)ケイセイサイミン

デジタル大辞泉 「経世済民」の意味・読み・例文・類語

けいせい‐さいみん【経世済民】

世を治め、人民を救うこと。経国済民

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精選版 日本国語大辞典 「経世済民」の意味・読み・例文・類語

けいせい‐さいみん【経世済民】

  1. 〘 名詞 〙 世の中をおさめ、人民をすくうこと。
    1. [初出の実例]「論語と孟子を経世済民(ケイセイサイミン)虎の巻と考へて居る役人が」(出典江戸から東京へ(1924)〈矢田挿雲一一)

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四字熟語を知る辞典 「経世済民」の解説

経世済民

世の中をおさめ、人民を救うこと。

[使用例] 古来学者といわれる人物の日本的特性を考えてみると、甚だ興味あることは、彼らが常に経世済民の志を掲げ、「学」と「徳」と「芸」とを一体として身につけ、更に「文」を業としつつも、「武」の道をもって心の備えとしていたことであります[岸田国士*日本文化の特質|1943]

[使用例] たまたま、もってうまれたゆたかな好奇心と知識欲が、儒学によって信仰にまでたたきこまれた経世済民の道とからみあってしまった[杉浦明平*わたしの崋山|1965]

[使用例] 侍にとって一番大事なのは、藩を潤わせ民を豊かにする算勘の術、経世済民の道なのかも知れぬ[堺屋太一*峠の群像|1981~82]

[解説] 「経世済民」とは、世を治めて民を救うこと。つまり「政治」のことで、それを重々しく言うとこうなります。
 「経世」も「済民」も古くからあることばです。「経世済民」自体も、中国の晋代(三~五世紀)以前にはあったかもしれません。当時の「ほうぼく」という書物の中に、「経世済俗」という、ほぼ同じ意味のことばが出てくるからです。
 この「経世済民」、あるいは類語の「経国済民」を略したのが「経済」です。「経済」も、最初は「政治」の意味で使われました。それが、日本では幕末にeconomyの訳語に使われ、今と同じ意味の「経済」が誕生しました。
 昭和末期、田中角栄元首相の影響力を逃れようとした竹下登(後の首相)らは、「創世会」を結成し、後にこれを発展させて「経世会」を作りました。
 当時の最大派閥でした。この「経世会」も「経世済民」が語源です。古典に詳しい人が名付けたのでしょうか。

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世界大百科事典(旧版)内の経世済民の言及

【経済】より

…また,経済はしばしば伝統慣習経済,市場経済,指令経済の三つに分類されるが,伝統,市場,指令は一経済のなかに並存する要素の若干であるにすぎず,それ以上の意味をもたせることはできない。
[〈経済〉という語の系譜]
 〈経済〉という語は中国晋代の書《抱朴子》〈外篇〉にある〈経世済民〉に発し,これを略したものといわれる。〈経世済民〉とは,〈世を治め民をたすける〉という意で,現在いうところの,政治にかかわるもろもろの事柄をさしていた。…

※「経世済民」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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