日本大百科全書(ニッポニカ) 「竹富」の意味・わかりやすい解説
竹富(町)
たけとみ
沖縄県八重山郡(やえやまぐん)にある町。石垣(いしがき)島の南西にある西表島(いりおもてじま)、竹富島、小浜島(こはまじま)、黒島(くろしま)、新城島(あらぐすくじま)、波照間島(はてるまじま)、鳩間島(はとまじま)など16の島からなる。役場は石垣市にある。1948年(昭和23)町制施行。西表島は山地状の地形、他の島は琉球(りゅうきゅう)石灰岩の低平な島である。石垣島との間に定期船が就航している。八重山列島への移民政策は琉球王朝時代から始まり、村落新設、移住、廃村と、まさに開拓の歴史そのものであった。竹富島は国指定重要無形民俗文化財の種子取祭(たなんどぅる)、節祭(しち)をはじめ、多くの民俗行事、民謡、舞踊などを残し、重要伝統的建造物群保存地区にも指定されている。生業は、黒島は肉用牛の放牧、小浜島は農業、鳩間島は沿岸漁業、波照間島は農業と漁業である。西表島の亜熱帯の原生林とサンゴ礁の八重山海域、波照間島、鳩間島の周辺海域は西表石垣国立公園で、また島は特別天然記念物のイリオモテヤマネコの生息地として知られる。面積334.40平方キロメートル、人口3942(2020)。
[堂前亮平]
『山城善三・上勢頭亨編『竹富島誌』(1971・竹富町)』▽『上勢頭亨著『竹富島誌 民話・民俗編』(1976・法政大学出版局)』▽『上勢頭亨著『竹富島誌 歌謡・芸能編』(1979・法政大学出版局)』▽『『竹富町史』全18巻(1993~ ・竹富町)』