竹田(市)(読み)たけた

日本大百科全書(ニッポニカ) 「竹田(市)」の意味・わかりやすい解説

竹田(市)
たけた

大分県南西部、竹田盆地にある市。1954年(昭和29)直入(なおいり)郡竹田、玉来(たまらい)の2町と豊岡(とよおか)、松本、入田(にゅうた)、宮砥(みやど)、嫗岳(うばたけ)、菅生(すごう)、城原(きばる)、宮城(みやぎ)の8村が合併して市制施行。2005年(平成17)同郡荻(おぎ)、久住(くじゅう)、直入の3町を合併。市名は中世以来の地名による。阿蘇(あそ)、九重(くじゅう)、祖母(そぼ)などの山々に囲まれた竹田盆地の大部分を占める。JR豊肥(ほうひ)本線と国道57号、442号、502号が通じる。大野川とその支流稲葉(いなば)川が阿蘇溶結凝灰岩を侵食し残した要害の丘陵地に、1185年(文治1)緒方(おがた)氏が築城、のち大友氏一族の志賀(しが)氏が建武(けんむ)年間(1334~1336)に拡大して岡城(おかじょう)と称したと伝える。1593年(文禄2)以後は中川氏7万石の城下町として発達した。米麦類、豆類、野菜類、飼料用作物、シイタケなどが主産物である。国指定史跡の岡城跡、文人画家田能村竹田(たのむらちくでん)の旧宅竹田荘(そう)と墓、七ツ森古墳群(ななつもりこふんぐん)、国指定重要文化財の中川神社の銅鐘(十字章とHOSPITAL SANTIAGO 1612の銘がある)をはじめ、キリシタン洞窟礼拝堂(どうくつれいはいどう)、1635年(寛永12)建立と伝える愛染堂(あいぜんどう)、軍神広瀬中佐を祀(まつ)る広瀬神社、殿町(とのまち)の武家屋敷、禰疑野(ねぎの)神社と城原(きばる)八幡社(ともに景行(けいこう)天皇が主祭神)などがある。扇森(おうぎもり)稲荷神社(通称狐頭稲荷(こうとういなり))のある玉来は、中川氏城下町建設時、ここの民戸を移したという古い在町。面積477.53平方キロメートル(境界一部未定)、人口2万0332(2020)。

[兼子俊一]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android