筒井筒(読み)ツツイヅツ

  • つついづつ つつゐ‥
  • つついづつ〔つつゐ〕

デジタル大辞泉の解説

筒井をかこむ、わく。
《伊勢物語・二三の「筒井つの井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹(いも)見ざるまに」の歌から》幼ともだち。幼なじみ。
「―の昔しもふるけれど、振わけ髪のおさなだちより馴れて」〈一葉・花ごもり〉

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大辞林 第三版の解説

筒井につけられたわく。
伊勢物語二三段のつつゐつの井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまにから 幼なじみの男女。また、その仲。 -の仲
重文の井戸茶碗。豊臣秀吉所持。近習が取り落とし、五つに割れたことから、細川三斎が銘をつけた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

筒井の筒の意。筒井は円筒状にまっすぐに掘り下げた井戸をいい、はその井戸の枠をいい、「筒井つ」とまったく同様に使われる。『伊勢(いせ)物語』23段に、幼なじみの男女が「筒井筒(筒井つの)井筒にかけしまろ(私)がたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに」「くらべこし振分髪も肩過ぎぬ君ならずしてたれかあぐべき」の歌を贈答しあう恋物語があるため、幼なじみや幼い男女の恋のたとえとしたりするほか、「いつ」と同音の「いつか」「いつも」にかかる序詞として用いる。[宇田敏彦]

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精選版 日本国語大辞典の解説

[1] 〘名〙
※六百番歌合(1193頃)恋五・七番「筒井筒井筒にかけしたけよりも過ぎぬや通ふ心深さは〈顕昭〉」
② (「伊勢物語」の「つつゐつの井筒にかけし…」の歌が幼なじみの恋であるところから) 幼なじみ。また、幼い男女の遊びなかま。
※謡曲・井筒(1435頃)「君ならずして、たれか上ぐべきと、互に詠みしゆゑなれや、筒井筒の女とも、聞こえしは、有常が娘の古き名なるべし」
※山吹(1944)〈室生犀星〉二「そして孰(いづ)れともなく筒井筒(ツツヰヅツ)の友は話し出した」
③ 序詞として「つついづつ」の「いつ」と同音を含む「いつ(何時)か」「いつ(何時)も」などにかかる。
※浄瑠璃・義経千本桜(1747)四「思ひ出るも涙にて袖はかはかぬつつ井筒(イヅツ)。いつか御身(おんみ)も、のびやかに春の柳生の糸長く」
[2] 井戸茶碗。名物。井戸茶碗の最高傑作といわれる。筒井順慶が所持していたので、この名がある。

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故事成語を知る辞典の解説

幼ともだち。特に、異性の幼なじみ。

[使用例] ひとつ違いの二人は、ふり分け髪の筒井筒といったで、ちいさな夫婦めおとよと、長屋じゅうの冗談の的だったのだが……[林不忘*丹下左膳|1933]

[由来] 「伊勢物語―二三」の物語から。幼いころ、井戸端で一緒に遊んでいた男女が、大きくなってお互い意識し、結婚したいと思うようになりました。そこで、男は、「筒井つの 井筒にかけし まろがたけ 過ぎにけらしな いも見ざるまに(井戸の筒と高さを比べっこしていた私の背丈は、ずっと大きく立派になりましたよ。しばらくあなたと会っていない間に)」という歌を送ってその気持ちを告げ、思い通りに一緒になれたということです。

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