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井戸茶碗 いどぢゃわん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

井戸茶碗
いどぢゃわん

佗茶に用いられる朝鮮産の朝顔型の茶碗。高麗茶碗の一種。名称の由来は諸説あり定かでない。ろくろで成形され,高台 (こうだい) が竹の節状で, (うわぐすり) が鮫肌状になるのが特色。李朝時代 (1392~1910) 初期から中期にかけて焼かれた。産地は不明。朝鮮での本来の用途は庶民の日用雑器であった。日本で茶器として取上げられたのは室町時代末期からで,安土桃山時代には「一井戸二楽三唐津」など,茶器として最高の扱いを受けた。器形や作風により大井戸,小井戸,青井戸などの種類がある。大徳寺孤篷庵の寺宝で国宝指定の『喜左衛門井戸』が代表作

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デジタル大辞泉の解説

いど‐ぢゃわん〔ゐど‐〕【井戸茶×碗】

高麗(こうらい)茶碗の一。全体に淡い卵色の釉(うわぐすり)がかかり、胴にはろくろ目が目立つ。李朝前期の朝鮮で焼かれたもので、室町時代以来、茶人が愛用。最高のものとされる。いど。

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百科事典マイペディアの解説

井戸茶碗【いどちゃわん】

高麗(こうらい)茶碗の一種。李朝初期,朝鮮慶尚南道の産といわれ,室町末〜桃山期に日本に将来された。天正年間ころには,中国産の唐物茶碗をしのぎ,その評価は抹茶(まっちゃ)茶碗の最高位に置かれた。

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世界大百科事典 第2版の解説

いどちゃわん【井戸茶碗】

李朝中期に朝鮮で焼かれたもので高麗茶碗の一種。本来茶の湯用として作られたものではなく,雑器であったものが,桃山期の武将,茶人の好みにかない,抹茶茶碗として珍重された。以来,茶の湯の茶碗の中でももっとも重視されるものとなった。井戸茶碗の産地や名称の起りはつまびらかでない。器形や作風から大井戸(名物手),青井戸,小井戸(古井戸)などに分けられているが,こうした呼称は江戸時代につけられたものである。大井戸は大振りな井戸茶碗という意味で,見込みが深い碗形をなし,高台はほとんど竹節状に削り出されているなど,器形はほぼ一定している。

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大辞林 第三版の解説

いどちゃわん【井戸茶碗】

朝鮮茶碗の一種。室町時代以来、茶人に最も珍重されたもの。大井戸(名物手)・青井戸・小井戸・井戸脇などの種類がある。「井戸」の名称由来は明らかにされていない。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

井戸茶碗
いどちゃわん

(り)朝時代の朝鮮半島で焼造された、いわゆる高麗(こうらい)茶碗の一種。本来は同地で民衆の日用雑器としてつくられたが、「わび」の美意識にもっともかなう茶碗に見立てられて、わが国の喫茶の道具に使用されてよみがえった。したがってその焼造窯も判然とはしていないが、おおよそ全羅南道から慶尚南道にかけての海岸沿いにある、青磁系の亜流の窯(かま)で焼かれたものであろう。日本の文献に高麗茶碗が登場する初見は1537年(天文6)であり、茶の湯が唐物(からもの)中心の時代からわび茶へと移っていくその初期にあたっており、この美意識にふさわしい茶碗の王座を井戸茶碗が占めている。桃山時代の『山上宗二記(やまのうえそうじき)』には「井戸茶碗、是(これ)天下一ノ高麗茶碗」と評されている。井戸茶碗の名称の由来については諸説あり、朝鮮半島地名説、井戸若狭守(わかさのかみ)が半島から持ち帰ったとする説、井戸三十郎持ち帰り説などあり、決定はみていない。
 井戸茶碗はやや柔らかい陶胎であるが、元来は青磁系の焼物に属し、長石質の白色透明性の高火釉(ゆう)が施された椀(わん)形の茶碗で、素地(きじ)は黄褐色を呈している。その作風によって、大井戸、古(小)井戸、青井戸、井戸脇(わき)、小貫入(こがんにゅう)などに分類している。代表する大井戸をみると、竹の節状の大きめな高台(こうだい)、高台脇の力強い削りあと、ゆったりと曲線を描く椀形の姿、枇杷(びわ)色の釉色(ゆうしょく)に特色がある。その他は大井戸の作風が変化したものと思われるが、井戸脇は井戸の脇に位置するといった意味で、井戸ではない。これら一群の井戸茶碗のおおよその製造時期は16世紀前半ごろ、ある特定の窯で一時期つくられたものであろう。[矢部良明]
『林屋晴三著『高麗茶碗』5巻(1980~81・中央公論社)』

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