日本大百科全書(ニッポニカ) 「米韓相互防衛条約」の意味・わかりやすい解説
米韓相互防衛条約
べいかんそうごぼうえいじょうやく
1953年10月1日、朝鮮戦争の休戦協定成立(7月27日)直後に、アメリカと韓国(大韓民国)との間で結ばれた条約。「現在それぞれの行政的管理下にある領域またはいずれか一方の締約国が他方の締約国の行政的管理の下に適法に置かれることになったものと今後認める領域において行われるいずれかの締約国に対する太平洋地域における武力攻撃」に対して共同行動をとることを目的としている。1954年11月17日発効。無期限だが、1年の予告で廃棄できる。朝鮮戦争のときのアメリカ軍は「国連軍」の一部として行動し、その後も「国連軍」の名目を保持した。しかし、この条約によって、アメリカ軍は独自に韓国に駐留しうる根拠をもつことになった。韓国にある「国連軍」を解体すべきであるとの声が強まり、1975年の国連総会でついにその旨の決議が採択され、この条約の重要性は増加した。
[宮崎繁樹]
2007年現在、在韓国連軍はアメリカ軍のみが駐留し、アメリカ以外の国は参謀要員や連絡要員を派遣するのみである。在韓アメリカ軍は約3万人で、段階的に削減が行われている。なお、1994年12月から平時の作戦統制権が韓国軍に移譲されたが、2012年までに有事の作戦統制権も韓国軍に移譲されることになった。
[編集部]