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糖鎖工学 とうさこうがく glycotechnology

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知恵蔵2015の解説

糖鎖工学

糖鎖を人為的に変化させて、たんぱく質や細胞の機能を改変する技術・研究分野。糖鎖は、グルコース(ブドウ糖)やガラクトースなどの単糖が鎖状に結合したもので、この糖鎖がたんぱく質の表面などに結合している。たんぱく質の半数以上は糖鎖が結合している。これらの糖鎖は細胞内・細胞間の情報伝達において重要な役割を果たす。糖鎖工学は、生理活性を示す糖鎖の単離・精製、糖鎖の構造と機能の解析、糖鎖を生合成する酵素(糖転移酵素)や、その遺伝子の解明、糖鎖を変化(修飾)させる技術の開発などを目指す。がん、炎症、感染症などへの糖鎖関連医薬品の開発が進んでいる。

(川口啓明 科学ジャーナリスト / 菊地昌子 科学ジャーナリスト / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

糖鎖工学
とうさこうがく

天然に存在する糖鎖の機能などについての研究成果をもとに、天然の物質を人工的に改変し、目的にあった糖鎖をつくる研究。糖鎖とはブドウ糖などの糖が重合した物質であり、糖鎖工学は近年活発化している。糖鎖が結合した糖タンパク質や糖脂質は、細胞の表面など種々の場所に存在し、重要な役割を担っている。たとえば、細胞などのタンパク質に結合した糖鎖によってタンパク質の活性が変化する。また、細胞間の情報伝達にも関与している。糖鎖の役割や機能については未解明の部分も多いが、医療等の産業界との連携により、基礎研究から産業への応用へと前進しつつある。
 糖鎖の化学的合成方法などを含む糖鎖工学が進歩すると、病気の発生の仕組みの解明や医薬品開発に貢献すると期待される。例をあげれば、癌(がん)発症の仕組みの解明や癌の診断薬・バイオマーカー(生物の体内に由来する物質のなかでも、とくに医学・診断分野では体の状態の変化を数値の変化として把握可能な指標となる物質をさす)への利用などがあげられる。また、糖鎖の改変による医薬品の効能・効果の増進や新しい医薬品の開発への応用も可能である。糖鎖工学は、医薬品以外に臨床診断や人工臓器、機能性食品などの幅広い分野への応用可能性をもつ技術であり、関連のプロジェクトや地域クラスター(地域における産学官の連携により構築された集団)等によっても、研究の推進が図られている。[飯野和美]
『古川鋼一・遠藤玉夫・川嵜敏祐編『実験医学増刊 Vol.25 No.7 波及・深化する糖鎖研究――糖鎖のもつ多彩な機能の解析と疾患研究に与えるインパクト』(2007・羊土社) ▽辻崇一・梶本哲也著『糖鎖科学への招待』(2008・三共出版) ▽産業技術総合研究所編『きちんとわかる糖鎖工学』(2008・白日社)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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